「副業をしたら会社にバレるのか」と不安に感じている会社員の方は多いでしょう。副業が会社に知られるきっかけとして最も多いのは住民税で、給与から天引きされる住民税の額が、副業の所得も合算した額で会社に通知されるためです。
当記事では、副業が会社にバレる理由、住民税の納め方の選択肢、バレたときの扱いを、地方税法や厚生労働省のガイドラインをもとに解説します。あわせて、隠すよりも就業規則に沿って届け出るほうが安全な理由と、届け出の進め方も整理します。
副業が会社にバレる主な理由は?
副業が会社に知られる主な理由は住民税です。仕組みと、会社が気づく時期、金額の目安を順に見ていきます。
最大の理由は住民税。副業の所得も合算した税額が会社に通知される
会社員の住民税は、原則として会社が毎月の給与から天引きして市区町村に納める「特別徴収」で納めます(地方税法第321条の3)。住民税の所得割は前年1年間の所得をもとに計算され(総務省「個人住民税」)、副業の所得を申告すると、その分も本業の給与と合算して税額が決まります。
市区町村は、天引きする税額を勤務先に通知します(地方税法第321条の4)。西宮市は、会社には各従業員の年税額と毎月の徴収額が通知されるため、本業の給与以外の所得が極端に多いと副業を疑われる可能性があると説明しています(西宮市「副業分を納付書(普通徴収)で納めたい場合」)。同じ給与水準の同僚より住民税が高いと、担当者が気づくきっかけになりえます。
一方で同市は、通知から所得の種類までは分からないとも説明しています。住民税の額だけで副業と決めつけられるわけではありませんが、会社から事情を聞かれる可能性はあります。
会社が気づくのは副業を始めた翌年の6月ごろ
住民税は前年の所得で決まるため、副業の所得が会社に届く税額へ反映されるのは、副業をした翌年の6月以降です。市区町村は5月31日までに税額を勤務先に通知し(地方税法第321条の4第2項)、会社は6月から翌年5月までの12回に分けて給与から天引きします(同法第321条の5)。
| 時期 | 起きること |
|---|---|
| 2026年1月〜12月 | 副業で所得を得る |
| 2027年3月15日まで | 確定申告(または住民税の申告)をする |
| 2027年5月31日まで | 市区町村が住民税の額を勤務先に通知する |
| 2027年6月〜 | 副業分も含めた住民税が給与から天引きされる |
※2026年に副業を始めた場合の流れ。地方税法第321条の4・第321条の5をもとに編集部作成。申告の期限は確定申告の場合。
「いくらからバレる」という金額の基準はない
「月5万円ならバレない」「20万円以下ならバレない」といった話を見かけますが、会社に知られるかどうかを分ける金額の基準はありません。住民税は所得の多少にかかわらず給与所得と合算して計算されるため、少額でも税額は変わります。会社がどの程度の差に気づくかは、勤務先の体制や担当者によって異なります。
また、所得税の確定申告が不要になる「20万円以下」は所得税だけの基準で、住民税の申告は別に必要です。詳しくは副業の確定申告はいくらから必要かで解説しています。給与以外の所得がある人は、所得税の確定申告をしない場合でも、住民税の申告書を提出する義務があります(地方税法第317条の2第1項)。申告しなければ住民税に反映されないと考えるのは誤りで、アルバイトの給与は原則として副業先から市区町村に報告されます(後述)。
同じように、「会社にバレない副業」という分類もありません。副業の種類より、次に説明する住民税の納め方や、届け出をしているかどうかのほうが大きく関わります。
住民税以外で副業が会社に知られるケース
住民税のほかにも、人づての情報や、雇用型の副業に伴う手続きから会社が副業を知ることがあります。一方で、マイナンバーで副業が新たに分かることはありません。
同僚に見られる・SNSで発信するなど、人づてに知られることが多い
税金の仕組みより身近なのが、副業先で同僚や取引先に会う、SNSやブログの発信から本人だと分かるといったケースです。会社の近くの店舗でアルバイトをする、実名や顔が分かる形で副業の発信をする、同僚に副業の話をする、といった場面がきっかけになります。
こうした経路は住民税の納め方では防げません。在宅でできる副業の種類と注意点は在宅でできるおすすめ副業で比べています。
アルバイトなど雇用型の副業は、労働時間や社会保険の手続きで会社が把握することがある
副業先とも雇用契約を結ぶアルバイトやパートの場合は、本業と副業の労働時間が通算されるため(労働基準法第38条第1項)、会社が副業の有無や働く時間を確認することがあります。厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」でも、使用者は労働者からの申告などにより副業・兼業の有無・内容を確認するとされています。
また、本業と副業の両方で健康保険・厚生年金保険の加入条件を満たすと、本人が「被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を提出します。日本年金機構によると、両方の報酬を合算して決めた標準報酬月額と保険料額は、それぞれの事業所に通知されます(日本年金機構「複数の事業所に雇用されるようになったときの手続き」)。短時間のアルバイトで加入条件を満たさない場合、この手続きはありません。
マイナンバーで副業が新たに会社に知られることはない
「マイナンバーで副業がバレる」という話もありますが、デジタル庁は、マイナンバー制度により副業を行っている事実が新たに判明するものではないと説明しています(デジタル庁「よくある質問:マイナンバー制度について(総論)」Q1-6)。会社が従業員のマイナンバーを集めるのは、源泉徴収票や社会保険の届出など法律で決められた手続きのためで、マイナンバーから副業の収入を調べられるわけではありません。
ただし同じ回答の中で、住民税の特別徴収の通知書には前年の給与収入の合計額が記載されているため、勤務先が支払った給与額との比較で副業が判明する可能性は制度の導入前からあった、とも説明しています。会社が気づくきっかけになるのは、マイナンバーではなく住民税の通知です。
住民税を自分で納付できるケース・できないケース
副業分の住民税を給与からの天引きではなく、自分で納める「普通徴収」にできるかどうかは、副業の所得の種類で決まります。なお、どちらの納め方でも、就業規則で求められている届け出や許可の手続きが不要になるわけではありません。
| 副業の種類 | 所得の区分 | 副業分の住民税の納め方 |
|---|---|---|
| 業務委託・フリーランス・物販など | 雑所得・事業所得など | 「自分で納付」(普通徴収)を選べる |
| アルバイト・パートなど | 給与所得 | 原則として本業と合わせて給与から天引き |
※地方税法第321条の3、西宮市・文京区の案内をもとに編集部作成。扱いは市区町村によって異なる場合があります(2026年10月時点)。
業務委託など給与以外の所得は、申告書で「自分で納付」を選べる
副業が業務委託や物販などで給与以外の所得の場合は、申告書で「普通徴収」を希望すれば、副業分の住民税を自分で納めることができます(地方税法第321条の3第2項ただし書き)。確定申告書なら第二表「住民税・事業税に関する事項」の「給与、公的年金等以外の所得に係る住民税の徴収方法」で「自分で納付」を選びます。住民税の申告書にも同じ選択欄があります。
ただし、文京区は、確定申告期限内に申告書を提出して「自分で納付」を選ぶよう案内したうえで、申告の内容によっては「自分で納付」を選んでも特別徴収になる場合があると案内しています(文京区「副業がある場合の徴収方法について」)。普通徴収になると、副業分の住民税は自宅に届く納付書などで自分で納めます。納期限までに納めないと延滞金がかかる点(地方税法第326条)にも気をつけてください。普通徴収の選び方や申告の流れは会社員の副業の住民税で詳しく解説しています。
アルバイトなど給与の副業は、原則として本業と合わせて給与から天引きされる
副業がアルバイトやパートで給与を受け取っている場合は、副業先の給与分も本業の給与と合わせて特別徴収されるのが原則です。地方税法では、給与所得に係る住民税は特別徴収で納めるものとされ(第321条の3第1項)、給与の支払者が複数いるときは、市区町村が条例で全部または一部を特別徴収義務者に指定すると定められています(第321条の4第4項)。
西宮市は、複数の会社から給与を得ている場合に「一部の支払者からの給与に係る税額のみを普通徴収とすることは法律上はできません」と案内しています。副業先の会社も、原則として給与の情報を「給与支払報告書」で市区町村に提出するため(地方税法第317条の6)、給与の副業は申告書の選択で納め方を変えることができません。アルバイトの副業の確定申告や社会保険の基準は、会社員の副業はいくらまでか(税金・社会保険・扶養の基準)で整理しています。
「バレない方法」といわれる普通徴収にも、会社に知られない保証はない
普通徴収を選べるケースでも、それで会社に知られないと保証されるわけではありません。前述の通り、自治体の判断で特別徴収になる場合があるほか、人づてやSNSなど住民税以外の経路もあります。
普通徴収は副業を隠すための制度ではなく、給与以外の所得の住民税を自分で納めるための納め方の選択肢です。就業規則で届け出や許可が必要とされているなら、納め方を工夫するより手続きを済ませておくほうが、安心して副業を続けられます。
副業を会社に届け出るときの進め方
副業を長く続けるなら、会社に知られるかどうかより、就業規則に沿って届け出ているかどうかが大切です。届け出は次の3つの流れで進めます。副業を始めるまでの全体の手順は会社員の副業の始め方でも解説しています。
まず就業規則で、副業が「届出制」「許可制」「禁止」のどれかを確かめる
最初に、勤務先の就業規則にある副業(兼業)の規定を読み、届け出だけでよいのか、会社の許可が必要なのかを確認しましょう。国が示す就業規則のひな形である厚生労働省「モデル就業規則」の第70条では、勤務時間外に他の会社等の業務に従事できるとしたうえで、会社は労働者からの届出に基づいて、労務提供上の支障や企業秘密の漏洩などがある場合に禁止・制限できるとしています。
ただし、モデル就業規則は参考例で、実際のルールは会社ごとに異なります。規定が見つからない、書き方があいまいで判断できないという場合は、人事部門に確認するのが確実です。
届け出では、副業の内容・時間・本業と競合しないことを具体的に伝える
会社が副業を認めるかどうかを判断しやすいように、副業の内容、働く時間の見込み、本業と競合しないことを具体的に伝えます。会社に決まった書式があればそれを使います。
- 副業の内容(業務委託のWebライティング、週末の飲食店のアルバイト など)
- 副業先の名称(業務委託なら主な取引先の業種)
- 働く曜日・時間帯と、1週間あたりの時間の見込み
- 本業の顧客情報やノウハウを使わないこと、競合する仕事ではないこと
厚生労働省は、企業が副業の内容を確認するための「副業・兼業に関する届出様式例」を公開しています。会社に書式がない場合は、これを参考に必要な項目をそろえておくと話が進めやすくなります。
副業の相談や自己申告をしたことを理由に、不利益な扱いはできないとされている
「届け出たら評価が下がるのでは」と心配する方もいるでしょう。厚生労働省のガイドラインでは、副業・兼業に係る相談、自己申告等を行ったことにより不利益な取扱いをすることはできないとされています(厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(令和4年7月改定))。
ガイドラインは、企業に対して原則として副業・兼業を認める方向で検討することを求めています。一方で、労働者にも、まず勤務先のルールを確認し、そのルールに照らして適切な副業を選ぶことを求めています。就業規則の「禁止」「許可制」「届出制」の違いは、正社員は副業してもいい?法律と就業規則の確認方法で解説しています。
副業が会社にバレたらどうなる?
無断の副業が会社に知られた場合にどうなるかは、就業規則の内容と、副業が本業にどのような影響を与えたかによって変わります。一律に「クビになる」「何もない」とはいえません。
就業規則に反していれば懲戒の対象になりうるが、処分の重さは個別に判断される
就業規則で届出制や許可制になっているのに無断で副業をしていた場合は、規定違反として注意や懲戒処分の対象になる可能性があります。ただし、労働契約法第15条は、懲戒が客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合は、権利の濫用として無効になると定めています。
どの程度の処分が認められるかは、副業の内容や期間、本業への影響、会社の規定などを踏まえて個別に判断されます。処分に納得できない場合は、都道府県労働局や労働基準監督署内にある総合労働相談コーナーに無料で相談できます。
本業に支障がなく職場秩序にも影響しない副業は、懲戒が認められなかった裁判例がある
厚生労働省のガイドラインによると、副業・兼業に関する裁判例では、形式的に就業規則の規定に抵触しても、職場秩序に影響せず、本業の労務提供に支障を生じさせない程度・態様のものは、禁止違反に当たらないとして懲戒処分を認めていないとされています。
一方で、ガイドラインは、副業を禁止・制限できる場合として、労務提供上の支障がある、業務上の秘密が漏洩する、競業により自社の利益が害される、自社の名誉や信用を損なう場合を挙げています。副業で本業に遅刻や居眠りが増えた、本業の顧客を副業に回した、といった事情があると、処分が重くなる可能性があります。
会社に聞かれたら、内容と時間を正直に説明して手続きをとる
会社から副業について聞かれたら、副業の内容と働いている時間を正直に説明し、必要な届け出や許可の手続きをとることが大切です。反対に、事実と違う説明をすると、副業そのものより会社との信頼関係のほうが問題になるおそれがあります。
公務員の副業は会社員と扱いが違う
ここまでの説明は民間企業の会社員の場合です。公務員は法律で兼業が制限されているため、「会社に知られるかどうか」以前に、許可を得ているかどうかが問われます。
公務員は許可なく兼業できず、違反は懲戒処分の対象になりうる
国家公務員は国家公務員法第103条・第104条、地方公務員は地方公務員法第38条により、営利企業の役員との兼職や自営、報酬を得て事業・事務に従事することが制限されています。地方公務員の場合、任命権者の許可を受けなければ報酬を得て事業や事務に従事できません(一部の非常勤職員を除く)。
法律に違反した場合は、免職・停職・減給・戒告の懲戒処分の対象になりえます(国家公務員法第82条、地方公務員法第29条)。会社員のように「就業規則で原則自由」という前提は当てはまりません。
許可が必要か迷う活動は、始める前に人事担当に確認する
公務員の方が副業を考える場合は、自己判断で始めず、所属先の人事担当に許可の基準と手続きを確認しましょう。許可の基準は人事院規則や各自治体の規則などで定められ、所属先によって扱いが異なります。
【まとめ】副業は会社にバレるかより就業規則に沿って届け出よう
副業が会社にバレる理由と、届け出の考え方のポイントは次の通りです。
- 副業が会社に知られる主なきっかけは住民税。副業の所得も合算した税額が勤務先に通知される
- 税額への反映は副業をした翌年の6月以降。「いくらからバレる」という金額の基準はない
- 同僚・SNS、雇用型の副業の労働時間や社会保険の手続きから知られることもある。マイナンバーで新たに分かることはない
- 給与以外の副業は住民税の「自分で納付」を選べるが、アルバイトなど給与の副業は原則として本業と合わせて天引きされる
- 無断の副業は懲戒の対象になりうるが、処分の重さは個別に判断される。公務員は許可が必要
副業を安心して続けるために、まずは勤務先の就業規則を開き、副業が届出制・許可制・禁止のどれかを確認することから始めましょう。届け出が必要なら、副業の内容と働く時間を整理して手続きを済ませておくと、住民税の額が変わっても慌てずに済みます。副業の始め方や税金の全体像は会社員の副業の始め方でまとめています。
副業以外も含めて収入を増やす方法を整理したい方は年収を上げたい人がやるべき5つの方法を、税金や固定費を見直して手元に残るお金を増やしたい方は手取りを増やす方法もあわせて参考にしてみてください。
副業の収入は保証されるものではありません。会社員の方は勤務先の就業規則(副業規定)を確認してください。副業の所得が年間20万円を超える場合などは確定申告が必要になることがあります。本記事の情報は2026年10月時点のものです。

