「副業で月10万円を稼ぎたいけれど、実際はどのくらい難しいのか」と迷う方は多いでしょう。公的な調査では、本業が正社員の副業者のうち、副業収入が月10万円以上の人は約3割です。届く人はいますが、少数派と考えておくのが現実的です。
当記事では、統計で見る現実的な目安、月10万円に必要な時間と単価の考え方、届きやすい副業のタイプと進め方を解説します。あわせて、月10万円になったときの税金と、「月10万円確実」をうたう勧誘の注意点も整理します。
副業で月10万円は難しい?統計で見る現実的な目安
「副業で月10万円」がどのくらいの水準なのかは、労働政策研究・研修機構(JILPT)の調査で傾向をつかめます。収入の分布と、働き方による違いを見ていきます。
正社員の副業者で月10万円以上の人は約3割。4割近くは月5万円未満
JILPT「副業者の就労に関する調査」によると、本業が正社員の副業者で、すべての副業を合わせた1か月の収入が10万円以上の人は30.8%でした。一方で、5万円未満の人も37.7%います。月10万円は不可能な金額ではないものの、副業をしている人の中でも上位3割ほどの水準です。
| 1か月の副業収入 | 本業が正社員 | 副業者全体 |
|---|---|---|
| 5万円未満 | 37.7% | 41.2% |
| 5万円以上10万円未満 | 31.5% | 30.0% |
| 10万円以上 | 30.8% | 28.9% |
※本業が正社員4,327人・副業者全体11,358人。区分は図表の各階級を合計したもの。調査は2022年10月3日〜13日に調査会社の登録モニターを対象にインターネットで実施。引用:JILPT「副業者の就労に関する調査」(2023年5月19日公表)図表2-9
この数字は、すでに副業をしている人の結果です。始めたばかりの時期は収入が少ないことが多いため、最初から月10万円を前提に生活費やローンの計画を立てないほうが安全です。
業務委託型は月10万円以上の割合が高いが、月1万円未満の人も多い
同じ調査で、本業が正社員の人を副業の働き方別に見ると、差がはっきり出ます。フリーランスや個人請負などの「非雇用」の副業では、月10万円以上の人が39.8%で、パート・アルバイトなどの「非正社員」として雇われる副業(21.9%)より高い割合です。
| 本業が正社員の人の副業 | 月1万円未満 | 月5万円未満 | 月10万円以上 |
|---|---|---|---|
| 非正社員(パート・アルバイト等) | 2.3% | 40.0% | 21.9% |
| 非雇用(フリーランス・個人請負等) | 7.0% | 36.7% | 39.8% |
※主な副業(もっとも収入の多い副業)の就業形態別。非正社員2,217人・非雇用1,388人。各階級の割合を合計。引用:JILPT「副業者の就労に関する調査」図表2-10
業務委託型は単価しだいで収入が伸びやすい反面、月1万円未満の人の割合も雇用型の約3倍です。収入が人によって大きく分かれる働き方といえます。
月10万円の売上がそのまま手元に残るわけではない
副業の収入が月10万円あっても、経費と税金を引くと、自由に使える金額はそれより少なくなります。業務委託なら道具代や通信費などの経費がかかり、所得税と住民税も増えます。目標は「売上で10万円」か「手元に残る額で10万円」かを分けて考えましょう。税金の目安は後半で解説します。
月10万円に必要な時間と単価の考え方
月10万円に届くかどうかは、「使える時間」と「1時間あたりの単価」のかけ算で決まります。
必要な時間は「10万円÷時間単価」。最低賃金の水準なら月85時間ほど
必要な作業時間は、10万円を1時間あたりの単価で割ると求められます。厚生労働省によると、令和8年度の地域別最低賃金の全国加重平均は1,177円です。この水準の時給で月10万円を得るには、月85時間ほど働く計算になります。
| 1時間あたりの単価 | 必要な時間(月) | 週あたりの目安 |
|---|---|---|
| 1,177円 | 約85時間 | 約20時間 |
| 1,500円 | 約67時間 | 約16時間 |
| 2,000円 | 50時間 | 約12時間 |
| 3,000円 | 約33時間 | 約8時間 |
※編集部の試算。売上(税金・経費を引く前)で月10万円を得る場合。1か月を約4.3週として計算。1,177円は令和8年度地域別最低賃金の全国加重平均(発効日は都道府県により令和8年10月1日〜12月2日で、2026年10月18日時点ではまだ発効していない地域もあります)。引用:厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」
週20時間は、平日に毎日2時間、土日に5時間ずつ働いてようやく届く時間です。本業がフルタイムの会社員にとって、時給の低い仕事で月10万円を目指すのは負担が大きいことが分かります。
正社員の副業者は週1〜2日が中心。使える時間から必要な単価を逆算する
JILPTの同じ調査では、本業が正社員の人の主な副業の頻度は「週の1〜2日程度」が30.2%で最も多く、「月に数日程度」が17.5%、「週末など本業が休みの日」が18.5%でした(図表2-8)。多くの会社員は、副業に使える時間が限られています。
たとえば週末に1日4時間ずつ、月8日働くと月32時間です。この時間で月10万円を得るには、1時間あたり約3,100円の単価が必要になります(編集部の試算)。先に「週に何時間使えるか」を決め、そこから必要な単価を計算すると、目標が現実的かどうかを判断しやすくなります。
業務委託は見積もりや修正の時間も含めて時間単価を計算する
業務委託の副業では、報酬が1件いくらで決まることが多く、時給は表示されません。時間単価は「報酬÷その仕事にかかったすべての時間」で計算します。案件探しや見積もり、やり取り、修正、学習の時間も含めると、思ったより単価が低いことがあります。
また、最低賃金は雇用される労働者に適用されるルールのため、業務委託の報酬には原則として適用されません。ただし、契約の名前が業務委託でも、働き方の実態から労働基準法上の労働者と判断される場合は適用されます。作業時間を記録しておくと、続けるべき仕事かどうかを見極めやすくなります。
月10万円に届きやすい働き方のタイプ
副業は、収入の決まり方で大きく3つのタイプに分けられます。タイプごとに、月10万円に届くために必要なものと注意点が違います。
| タイプ | 収入の決まり方 | 月10万円に必要なもの |
|---|---|---|
| スキルを使う業務委託 | 単価×件数 | 本業の経験や専門スキル、実績 |
| 雇用型(アルバイト等) | 時給×時間 | 週20時間ほどの時間 |
| 物販・発信型 | 売上−仕入れ等 | 元手と、売れるまでの時間 |
※編集部の整理。必要なものは一般的な傾向で、収入を保証するものではありません。
本業の経験を業務委託で使う副業は、単価を上げやすい傾向がある
前述の通り、統計では非雇用の副業のほうが月10万円以上の割合が高くなっています(月1万円未満の割合も高めです)。なかでも単価を上げやすいのは、本業で身につけた経験や専門スキルを、業務委託で提供する副業です。経理、Web制作、資料作成、語学、業界知識を生かした執筆などは、経験を示しやすく、未経験の人より高い単価で引き受けられる場合があります(編集部の整理)。
ただし、本業の取引先から直接仕事を受けたり、競合する会社の仕事をしたりすると、就業規則の競業避止や秘密保持に触れるおそれがあります。本業の情報を使わない範囲で、勤務先と利害がぶつからない仕事を選ぶことが前提です。
アルバイトなど雇用型は収入が読みやすいが、時間と健康の負担が大きい
アルバイトなどの雇用型は、働いた時間に応じて時給が支払われるため、収入の見通しを立てやすい働き方です。一方で、月10万円には週20時間前後が必要になり、本業との労働時間は通算されるため、長時間労働になりやすい点に注意が必要です。
厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」でも、雇用される副業では本業と副業の労働時間が労働基準法上通算されるとしています。また、副業先でも週20時間以上働くなど社会保険の加入条件を満たすと、副業先でも健康保険・厚生年金保険に加入し、本人が「二以上事業所勤務届」を出す必要があります(日本年金機構)。
物販や発信型は元手や時間がかかり、収入が安定するまで読みにくい
中古品の転売などの物販や、ブログ・動画などの発信型は、うまく回れば月10万円を超えることもあります。ただし、物販は仕入れの元手が必要で、売れ残れば赤字になる可能性があります。発信型は読者や視聴者が集まるまで収入がほとんど出ない期間があり、いつ収入になるかを見通しにくい働き方です。
データ入力のように未経験から始めやすい在宅の仕事は、単価が低めに設定されていることが多く、前の章の表のとおり必要な時間が長くなりがちです。どのタイプも、収入が月10万円になる保証はありません。副業の種類ごとの特徴は会社員の副業の始め方と種類で、在宅でできる仕事の比較は在宅でできる副業の選び方で紹介しています。
副業で月10万円を目指す段階的な進め方
いきなり月10万円を目標にすると、時間が足りずに続かなかったり、高額な講座に手を出したりしやすくなります。次の4段階で、少しずつ金額を上げていきます。
手順1:就業規則と届け出の方法を確認する
最初に、勤務先の就業規則で副業が認められているか、届け出や許可が必要かを確認します。副業を一律に禁止する法律はありませんが、会社が就業規則で届け出制や許可制にしている場合があります。公務員は、国家公務員法・地方公務員法で兼業が制限されており、原則として許可が必要です。
法律上の扱いや、副業が禁止されている場合の考え方は、正社員は副業してもいいかを解説した記事で詳しく紹介しています。
手順2:まず月1万〜3万円を目標に小さく始める
最初の目標は、月1万〜3万円ほどの、続けられる金額にするのがおすすめです。実績がないうちは単価が低くなりやすく、作業に慣れるまで時間もかかります。小さな仕事を受けて、報酬・納期・支払日などの取引条件を確認する経験を積むことが、次の段階で単価を上げる土台になります。
手順3:時間単価を記録し、単価の低い仕事を入れ替える
収入が出始めたら、仕事ごとに報酬とかかった時間を記録し、時間単価を比べるようにします。単価の低い仕事を減らし、実績を見せて単価の高い仕事に入れ替えていくと、同じ時間でも収入を増やせる可能性があります。時間を増やすより単価を上げるほうが、本業と両立しやすくなります。
手順4:月5万円を超えたら税金の取り置きを始める
副業の収入が増えてきたら、売上の一部を納税用に別の口座へ取り分けておくと安心です。月5万円(年60万円)でも、経費が40万円を超えない限り、所得は20万円を超えて確定申告が必要になります。翌年に所得税と住民税をまとめて払うことになるため、収入と経費の記録を毎月つけておくと、申告の準備が楽になります。
月10万円になったときの税金と社会保険
副業でいくらまで稼いでよいかに法律上の上限はありませんが、月10万円、年120万円の収入になると税金の手続きが必要になります。確定申告・住民税・社会保険のポイントを整理します。
年120万円の副業収入なら、ほとんどの場合は確定申告が必要
国税庁によると、給与を1か所から受けている会社員は、給与所得・退職所得以外の所得の合計が年20万円を超えると確定申告が必要です(国税庁 No.1900、令和8年4月1日現在法令等)。所得は「収入−経費」で計算するため、年120万円の収入なら、経費が100万円を超えない限り20万円を超えます。
副業がアルバイトの場合は、副業先の給与は年末調整されないため、その給与の収入(経費を引く前の金額)で20万円を判定します。申告の手順や、20万円以下のときの扱いは副業の確定申告はいくらからかを解説した記事で紹介しています。
住民税は副業の所得の約10%が増え、翌年6月から納める
住民税の所得割は、所得に対して原則10%(道府県民税4%・市町村民税6%)で、前年1月〜12月の所得で計算されます(総務省「個人住民税」)。副業の所得が年120万円なら、住民税は年12万円ほど増える計算です(編集部の試算)。所得税の確定申告が不要な20万円以下の所得でも、住民税の申告は必要です。
住民税は本業の給与から天引きされることが多く、その金額から副業に気づかれる場合があります。納め方の選び方は副業の住民税の記事で解説しています。
税金の目安は、本業の税率が10%の帯なら所得税と住民税で年24万円ほど
副業の所得は本業の給与所得と合算され、所得税は5〜45%の累進税率で計算されます(国税庁 No.2260 所得税の税率)。副業の所得120万円が本業と合わせて税率10%の帯に収まる場合、所得税(復興特別所得税を含む)が約12.3万円、住民税が約12万円で、合計は年24万円ほどです。
同じ条件で税率5%の帯なら年18万円ほど、20%の帯なら年37万円ほどになります。つまり、月10万円の副業収入のうち、税金だけで月1.5万〜3万円ほどが出ていく計算です。手取りで月10万円を残したい場合は、税金と経費の分だけ多い売上が必要になります。
※編集部の試算(令和8年分)。経費0円、副業の所得120万円がすべて同じ税率の帯に収まる場合。所得税は120万円×税率×1.021、住民税は120万円×10%。実際の税額は経費・控除や、税率の帯をまたぐかどうかで変わります。金額ごとの詳しい目安は会社員の副業はいくらまでかを解説した記事で紹介しています。
社会保険は働き方しだい。業務委託なら本業の保険料は変わらない
業務委託や物販など給与ではない副業の収入は、本業の健康保険・厚生年金保険の保険料の計算に入りません。社会保険に影響が出るのは、主に副業先でも雇用されて加入条件を満たす場合です。その場合は両方の給与を合算して標準報酬月額が決まり、保険料は各社の給与に応じて分けて負担します(日本年金機構)。
「月10万円確実」をうたう勧誘に注意
「副業で月10万円」は検索されやすい言葉のため、勧誘の広告にもよく使われます。契約前に確認したいポイントを整理します。
「誰でも」「確実に」月10万円とうたう広告は、収入の根拠を確かめる
前述の通り、正社員の副業者でも月10万円以上の人は約3割です。「誰でも月10万円」「確実に稼げる」と言い切る広告はうのみにせず、収入の根拠や条件が示されているかを確かめてから判断してください。「スマホだけで」「作業は1日数分」など手軽さを強調する勧誘も同様です。収入の実例として示される数字は、ごく一部の人の結果である場合があります。
副業の面接や説明会から、高額な講座の契約に進む相談が増えている
国民生活センターは、AI講座や副業スクールなどの「ビジネス講座」のトラブルについて、2026年9月16日に注意を呼びかけています。全国の消費生活センター等への相談は2025年度に3,551件と増加傾向で、副業の採用面接に応募したら65万円の講座の契約になっていたという事例も紹介されています。
Web会議で勧誘を受けても、その場で契約を決めないことが大切です。月々の支払額だけでなく総支払額と解約条件を確認し、困ったときは消費者ホットライン「188」に相談しましょう。借金をしてまで講座や教材を買うのは避けてください。
本業に支障が出るほど副業の時間を増やさない
月10万円を急ぐあまり睡眠や休日を削ると、本業のミスや体調不良につながり、かえって収入を減らすおそれがあります。副業は本業に支障が出ない時間の範囲で続けることが基本です。副業より先に、今の会社での昇給や転職で収入を上げる方法も比べておくと、選択肢が広がります。方法ごとの上がり幅の目安は年収を100万円上げる方法別の目安で整理しています。
年収を上げる方法の全体像は年収を上げたい人がやるべきことで、副業で増やすのと同じ月10万円を支出の見直しで生み出せないかは固定費削減の見直しリストで確認できます。
【まとめ】副業で月10万円はまず時間単価の計算から始めよう
当記事では、副業で月10万円を目指すときの現実的な目安と進め方をご紹介しました。ポイントは次の通りです。
- 正社員の副業者で月10万円以上の人は30.8%、5万円未満は37.7%(JILPT・2023年5月公表)
- 必要な時間は「10万円÷時間単価」。最低賃金の水準(1,177円)なら月85時間ほど
- 届きやすいのは本業の経験を業務委託で使う副業。ただし収入は人によって大きく分かれる
- 年120万円の副業収入なら確定申告が必要で、住民税も所得の約10%増える
- 「誰でも」「確実に」月10万円とうたう講座や勧誘は、契約前に総額と解約条件を確かめる
最初にやることは1つ、週に副業へ使える時間を決め、10万円をその時間で割って必要な時間単価を出してみることです。必要な単価が今のスキルで届きそうかが分かれば、目標を月10万円にするか、まず月3万円にするかを決めやすくなります。
副業の収入は保証されるものではありません。会社員の方は勤務先の就業規則(副業規定)を確認してください。副業の所得が年間20万円を超える場合などは確定申告が必要になることがあります。本記事の情報は2026年10月時点のものです。

