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年収交渉はエージェントに任せられる?仕組みと上手な頼み方・限界

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年収交渉はエージェントに任せられる?仕組みと上手な頼み方・限界

「年収の話を自分で切り出すのは気が引ける」と感じて、転職エージェントに任せられないか考える人は少なくありません。エージェント経由で応募した求人なら、年収交渉は担当者に任せられることが多いものの、希望額・下限・根拠は自分で決めて伝える必要があります。

当記事では、任せるメリットと限界、上手な頼み方、自分で交渉する場合との違いを、職業安定法と厚生労働省の資料をもとに解説します。あわせて、手数料の仕組みと年収の関係、許可番号の確かめ方も整理します。

目次

年収交渉は転職エージェントに任せられる?

結論は「任せられることが多いが、金額の判断は自分に残る」です。

エージェント経由の応募なら、年収交渉は担当者に任せられることが多い

転職エージェントを通して応募している場合、内定後の年収や入社日などの条件の相談は、担当者が企業との間に入って進めることが多いです。職業安定法では、職業紹介を「求人者と求職者との間における雇用関係の成立をあっせんすること」と定めています(第4条)。ただし、条件の相談を担当者がどこまで行うかまでは、法律で決まっているわけではありません。

企業との窓口は担当者に一本化されているため、希望は担当者に伝えて企業に相談してもらう形になります。どこまで代わりに進めるかは担当者によって異なるので、面談の段階で「条件の相談もお願いできますか」と確かめておきましょう。

※根拠:職業安定法(e-Gov法令検索)第4条(2026年10月時点)

金額を決めるのは企業、受け入れるかを決めるのは自分

任せられるのは「企業に伝えて相談すること」までで、年収を決めるのは企業、その金額で入社するかを決めるのは自分です。担当者は企業の決定権を持っていないため、任せれば希望額が通るというものではありません。

そのため、任せる場合でも、いくらを希望し、いくらを下回ったら辞退するかは自分で決めておく必要があります。この点は転職の年収交渉のやり方で紹介している、自分で交渉する場合の準備と同じです。

「交渉してくれない」と感じるときは、希望額の根拠と伝え方を見直す

「エージェントが年収交渉をしてくれない」と感じる場合、希望額や根拠が担当者に十分伝わっていないか、希望額が企業の想定する範囲から大きく離れている可能性があります。担当者が企業の給与の決まり(等級ごとの給与の幅など)を知っていて、通りにくいと判断していることもあります。

この場合は、「なぜその金額を希望するのか」を現年収と経験・実績で説明し直し、企業にどのように伝えてもらえたか、企業からの回答はどうだったかを確認します。それでも対応に納得できない場合は、窓口の担当者を変えてもらえないか相談する方法もあります。

年収交渉をエージェントに任せるメリットと限界

任せることには、自分で交渉するときにはない利点がある一方、できないこともあります。

メリット:言いにくい金額の話を、第三者から伝えてもらえる

任せる一番のメリットは、「もう少し年収を上げてほしい」という言いにくい話を、担当者から企業に伝えてもらえることです。自分で伝えると角が立たないか気になる場面でも、担当者を通すことで、条件の話と選考での印象を切り分けやすくなります。

担当者がその企業の採用を以前から扱っていれば、通りやすい伝え方を一緒に考えてもらえることもあります(持っている情報は担当者によって異なります)。

限界:企業の給与の決まりや予算を超える金額は、任せても通りにくい

会社には等級ごとの給与の幅や採用の予算があり、その範囲を超える金額は、誰が交渉しても通りにくいのが実情です。

希望額が通らなかったときは、年収以外の条件(等級・手当・入社日など)で調整できないかを担当者に相談してもらう方法があります。提示額が下限を下回る場合の考え方は、年収交渉がうまくいかないときの選択肢で整理しています。

年収交渉をエージェントに上手に頼む方法(4ステップ)

初回の面談から入社を決めるまでを、4つの手順に分けて紹介します。

手順1:面談の段階で、現年収を額面と内訳まで正確に伝える

担当者は、応募の段階から現年収と希望年収をもとに企業と話を進めます。現年収は、源泉徴収票の「支払金額」(賞与を含む、税金や社会保険料が引かれる前の額面)で伝えます。

あわせて、月給・賞与・残業代・手当の内訳も伝えておくと、提示された年収と正しく比べてもらえます。残業代が多い人は、月給が上がっても年収が増えないことがあるため、内訳の共有が特に大切です。

手順2:「希望額」「下限」「優先順位」を分けて伝える

担当者に伝える金額は、「希望額」と「これを下回るなら辞退も考える下限」の2つに分け、年収以外で優先したい条件も添えるのがポイントです。

伝えること内容企業への伝わり方
希望額根拠を説明できる金額希望額として相談してもらう
下限生活費などから逆算した、これ以上は下げられない額交渉の方針を決めるための情報。企業にそのまま伝える内容ではない
優先順位等級・手当・入社日・働き方など、年収以外で重視する条件希望額が難しい場合の代わりの相談に使う

下限は担当者が交渉の方針を決めるための情報なので、企業にはあくまで希望額の相談として伝えてもらうよう、ひと言添えておきましょう。担当者に送るメールの文例は、年収交渉のメール例文(例文6)で紹介しています。

手順3:希望額の根拠を、担当者が企業に説明できる形で渡す

担当者が企業に相談するときに必要なのは、「なぜその金額なのか」を説明する材料です。担当した業務・実績・役立つスキルを、数字や事実で短くまとめて渡しておくと、担当者が企業に伝えやすくなります。

同じ職種の求人の想定年収の幅や、公的統計での上がり幅も、希望額が相場から外れていないかを確かめる材料になります。どのくらい上がっていれば相場並みかは、転職の年収アップ相場で厚生労働省の統計をもとに解説しています。他社から実際に内定や提示を受けている場合は、その事実も担当者に共有しておきます。

手順4:交渉の結果は、企業が出す書面で確かめる

担当者が企業と条件を相談するのは、内定が出てから承諾の返事をするまでの間が中心です。結果は担当者から連絡が来ることが多いですが、最終的な年収は、企業が出す労働条件通知書などの書面で確かめてから承諾するのが基本です。労働基準法第15条により、会社は労働契約を結ぶときに賃金などの労働条件を明示しなければなりません。

担当者から聞いた金額と書面の金額が違う場合は、承諾の前に担当者と企業に確認します。オファー面談(内定後に企業が条件を説明する面談)で年収の話をすること自体はできます。企業から直接希望額を聞かれたら担当者に伝えた額と同じ内容を答え、相談したい点は面談のあとに担当者へ伝えると、話の食い違いを防げます。

エージェントに任せる場合と自分で交渉する場合の違い

年収交渉は、エージェント経由の応募なら担当者に任せる、直接応募なら自分で行うのが基本です。主な違いは次の通りです。

比べる点エージェントに任せる自分で交渉する
企業との窓口エージェントの担当者自分(採用担当者とやり取り)
言い出しやすさ第三者から伝えてもらえる自分で切り出す必要がある
使える情報担当者が持つ企業の情報を参考にできる場合がある求人票や面接で得た情報が中心
気をつけたい点希望や根拠を正確に伝えないと、意図と違う形で伝わることがある伝え方やタイミングをすべて自分で判断する

※一般的な傾向の整理で、エージェントや企業によって進め方は異なります。

エージェント経由で応募した企業に、自分から直接交渉するのは避ける

エージェントを通して応募した企業に対して、担当者を通さずに自分から人事へ年収の相談をするのは避けたほうが無難です。窓口が2つになると、企業側でどちらの話が正しいのか分からなくなり、行き違いが起きやすくなります。

企業から直接連絡が来たときは、その内容を担当者にも共有しておきます。

直接応募した企業では、自分で交渉する。進め方の基本は同じ

直接応募の場合も、条件の提示を受けてから承諾するまでの間に、お礼・現年収・根拠・希望額の順で相談の形で伝えるという基本は、エージェントに任せる場合と同じです。

切り出すタイミングや口頭・メールの例文は転職の年収交渉のやり方で、交渉が原因で内定を取り消されないかが心配な場合は年収交渉で内定取り消しになるかの考え方で解説しています。

転職エージェントの仕組みと年収交渉の関係

エージェントに任せるかを判断するには、エージェントがどこから報酬を受け取っているのかを知っておくことが役立ちます。ここでは法律上の位置づけと手数料の決まり、それが年収交渉にどう関わるかを整理します。

転職エージェントは、厚生労働大臣の許可を受けた「有料職業紹介事業」

一般に転職エージェントと呼ばれるサービスは、法律上は厚生労働大臣の許可を受けて行う「有料職業紹介事業」にあたります(職業安定法第30条)。手数料や報酬を受け取って職業紹介を行う事業は、許可がなければ行えません。

許可を受けた事業者には許可番号が付けられています。確かめ方は、後述の注意点で紹介します。

求職者からは原則として手数料を取れない。費用は採用した企業が払う

職業安定法第32条の3第2項では、有料職業紹介事業者は、求職者から手数料を徴収してはならないと定めています。転職エージェントを無料で使えるのは、手数料を採用した企業(求人者)が支払う仕組みだからです。

例外として、芸能家・モデルの職業や、年収700万円を超える経営管理者・科学技術者・熟練技能者の職業に紹介した場合は、求職者から手数料を取れる場合があります(職業安定法施行規則第20条第2項、厚生労働省「職業紹介事業の業務運営要領」)。ハイクラス向けのサービスを使う場合は、費用の負担がないかを契約前に確認しておきましょう。

企業が払う手数料は「上限制」か「届出制」。率で決める場合は年収が高いほど増える

企業から受け取る紹介手数料の決め方は、法律で次の2つに限られています(職業安定法第32条の3第1項)。

種類手数料の決まり方根拠
上限制手数料紹介手数料は、支払われた賃金の11%(免税事業者は10.3%)以下。6か月を超えて雇用された場合は6か月分の賃金が基準職業安定法施行規則 別表
届出制手数料事業者があらかじめ厚生労働大臣に届け出た手数料表の額職業安定法第32条の3第1項第2号

※2026年10月時点。上限制の手数料は、無期雇用で6か月を超えて雇用された場合に別の計算方法との大きいほうになる定めもあります。このほか、求人を受け付けたときの受付手数料(1件710円、免税事業者は660円が上限)の定めもあります。引用:職業安定法第32条の3、職業安定法施行規則第20条・別表(e-Gov法令検索)

届出制の手数料表で、手数料を「年収の〇%」のように率で定めている場合は、決まった年収が高いほど手数料も増える計算になります。上限制も賃金をもとに計算するため、考え方は同じです。手数料の率は事業者ごとに異なり、法令で決まった相場があるわけではありません。個々の事業者の手数料表や平均手数料率は、後述の人材サービス総合サイトで確認できます。

エージェントを使うと年収が下がる?手数料が給与から引かれることはない

「エージェントを使うと、手数料の分だけ年収が下がるのでは」と心配する人もいます。前述の通り手数料は企業が支払うもので、求職者の給与から手数料が差し引かれることはありません。

一方で、企業から見ると紹介手数料は採用にかかる費用の1つです。それを年収の決め方にどう反映するかは企業ごとに異なり、エージェント経由だから一律に低くなる、あるいは高くなると示す公的なデータは、当編集部が確認した範囲では見当たりません。

エージェントは「入社が決まること」で手数料を受け取る立場。勧めは参考にとどめる

上限制の手数料は、原則として紹介した人が就職し、賃金が支払われた後に企業から受け取る仕組みです(職業安定法施行規則 別表)。届出制でも、どの時点で手数料が発生するかは手数料表で決まっています。手数料が入社の成立にかかっている場合、エージェントは年収が高く決まるほど手数料が増える一方、入社が決まらなければ手数料を受け取れない立場になります。

そのため、「この金額なら決まりそうです」「早めに承諾したほうがよいです」と勧められることもあり得ます。厚生労働省の業務運営要領でも、職業紹介事業者は求職者の意思を尊重し、意思に反して特定の職業を強制するような接し方はしないこととされています。勧めは参考にとどめ、承諾するかは自分の下限と照らして決めることが大切です。

※根拠:厚生労働省「職業紹介事業の業務運営要領」第9(令和8年10月1日から適用される版・2026年10月時点)

エージェントに頼むときの注意点と許可の確認方法

最後に、エージェントを使う前と使っている間に確かめておきたい点を3つ紹介します。

許可番号は、厚生労働省の「人材サービス総合サイト」で確かめる

使おうとしているエージェントが許可を受けているかは、厚生労働省が運営する「人材サービス総合サイト」で、事業者名や許可番号から確かめられます。有料職業紹介事業の許可番号は「13-ユ-〇〇〇〇〇〇」のように、都道府県の番号(2桁)、有料職業紹介事業を示す「ユ」、事業主の番号(6桁)で構成されています。

許可番号は、エージェントの公式サイトの会社概要などに載っていることが多いです。見当たらない、または検索しても出てこない場合は、利用する前に問い合わせて確かめてください。

※許可番号の構成は厚生労働省「職業紹介事業の業務運営要領」第1より(2026年10月時点)。確認先:人材サービス総合サイト(厚生労働省)

求職者に費用を求められたら根拠を確かめる。手数料の情報は公開されている

前述の通り、求職者からは原則として手数料を取れません。登録や紹介を理由に費用を求められた場合は、その根拠を確かめてから判断してください。有料職業紹介事業者は、手数料に関する事項や、紹介した人が早く辞めた場合に企業へ手数料を返す「返戻金制度」に関する事項を、求職者にも明示しなければなりません(職業安定法第32条の13、同法施行規則第24条の5)。

人材サービス総合サイトでは、事業者が掲載した手数料表や返戻金制度の有無、紹介で就職した人の数、無期雇用で就職した人のうち6か月以内に辞めた人(解雇による離職などを除く)の数なども公開されています(同法第32条の16第3項、同法施行規則第24条の8)。2025年4月からは、取扱職種ごとの平均手数料率(常用就職=無期雇用または4か月以上の有期雇用での就職が多い上位5職種)の掲載も加わりました(厚生労働省「職業紹介事業の業務運営要領」)。

現年収を盛って伝えない。担当者経由でも、偽った金額は後で問題になりやすい

担当者に伝えた現年収は、そのまま企業に伝わり、提示額を決める材料になります。現年収を実際より高く伝えるのは、エージェント経由でも避けるべきです。年の途中で入社した人は、年末調整のために前の会社の源泉徴収票を新しい会社に出すのが一般的で、金額の食い違いが分かることがあります(国税庁 No.2674 中途就職者の年末調整・令和8年4月1日現在法令等)。

厚生労働省は、内定の取消事由の例の1つに「重要な経歴詐称」を挙げています。多めに伝えてしまった場合の考え方は、年収交渉で内定取り消しになるかの考え方で解説しています。

※根拠:国税庁 No.2674 中途就職者の年末調整、厚生労働省「確かめよう労働条件」採用の内定・内々定について、職業安定法第32条の13・第32条の16、職業安定法施行規則第24条の5・第24条の8

【まとめ】年収交渉はエージェントに任せつつ、希望額と下限は自分で決めよう

年収交渉を転職エージェントに任せる場合のポイントは次の通りです。

  • エージェント経由の応募なら、年収交渉は担当者に任せられることが多い。金額を決めるのは企業、受け入れるかは自分
  • 任せるときは「希望額」「下限」「優先順位」と根拠を分けて伝え、結果は書面で確かめる
  • 転職エージェントは厚生労働大臣の許可を受けた有料職業紹介事業。求職者からは原則として手数料を取れない
  • 企業が払う手数料は上限制か届出制。率で決める場合は、年収が高いほど手数料も増える
  • 許可番号や手数料の情報は、厚生労働省の人材サービス総合サイトで確かめられる

任せること自体に問題はありませんが、任せきりにしないことが大切です。まずは源泉徴収票で現年収を額面と内訳まで書き出し、希望額と下限の2つの金額を決めておくことから始めましょう。転職全体の進め方は転職で年収アップする方法で、今の会社に残って年収を上げる選択肢は昇給交渉のやり方で解説しています。年収を上げる方法の全体像は、年収を上げたい人がやるべきことも参考にしてみてください。

記事の情報について

本記事は一般的な情報の提供を目的としており、収入の増加や特定の結果を保証するものではありません。税金・社会保険・制度の内容は改正されることがあるため、最新情報は公的機関の公式サイトでご確認ください。本記事の情報は2026年10月時点のものです。

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この記事を書いた人

年収上げたい.com を運営する編集部です。年収を上げたい人に向けて、国税庁・厚生労働省などの公的な統計や制度の一次情報をもとに、今の会社で上げる・転職・スキルと資格・副業・支出の見直しといった打ち手をわかりやすく解説しています。記事は公開前に数字と制度を一次情報で確認し、結果を保証するような表現はしない方針です。

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