転職の応募書類や住宅ローン、ふるさと納税、扶養など、「年収に副業は入るの?」と迷う場面は意外と多くあります。結論から言うと、「年収」は場面ごとに指す範囲が違い、副業を含むかどうかもその場面の基準で決まります。税金や扶養の判定では副業も合算され、転職で伝える現年収や源泉徴収票の金額は本業の給与だけが基本です。
当記事では、場面別の早見表と、転職・住宅ローン・税金・扶養それぞれでの扱いを、国税庁・総務省・日本年金機構・住宅金融支援機構の情報をもとに解説します。あわせて、年収に副業を含めるときの注意点も整理します。
年収に副業は含むのか
「年収に副業は含むのか」の答えは、誰が何のために年収を確かめるかで変わります。まずは言葉の意味と場面ごとの違いを確認します。
「年収」は場面で指す範囲が違う。会社員の年収は本業の額面給与を指すことが多い
「年収」は、場面によって指す金額が変わる言葉です。会社員が「年収」と言うときは、税金や社会保険料が引かれる前の1年間の給与と賞与の合計(額面)を指すのが一般的で、勤務先から受け取る源泉徴収票の「支払金額」で確かめられます。
一方、税金や扶養の制度では「所得」「合計所得金額」「年間収入」などの言葉で基準が決められています。「年収に副業を含むか」は、その場面の基準が何を指しているかを確かめると判断できます。
本業の源泉徴収票の金額には、副業の収入は入らない
本業の源泉徴収票の「支払金額」は、その会社が支払った給与の合計です。副業がアルバイトの給与でも業務委託の報酬でも、この金額には入りません。
副業先の給与は「従たる給与」として原則として年末調整されず、本人が確定申告で精算するとされています(国税庁 No.2520・令和8年4月1日現在法令等。金額が小さい場合の例外は後述)。
場面別の早見表。税金と扶養は副業を含み、転職と源泉徴収票は本業だけが基本
場面ごとに整理すると次の通りです。
| 場面 | 副業を含むか | 基準になる金額 |
|---|---|---|
| 源泉徴収票・年末調整 | 含まない | 本業の会社が支払った給与 |
| 転職の応募書類・面接 | 本業が基本(含めるなら内訳を分ける) | 本業の額面給与 |
| 住宅ローンの審査 | 金融機関・商品によって違う | 前年の収入・所得を示す公的な書類 |
| 所得税・住民税 | 含む | すべての所得の合計 |
| ふるさと納税の控除上限 | 含む | 住民税所得割額など |
| 税の扶養(配偶者控除など) | 含む | 合計所得金額 |
| 社会保険の扶養 | 含む | 今後1年間の収入の見込み額 |
※2026年10月時点の制度と各機関の公表情報をもとに編集部で整理。住宅ローンは金融機関・商品ごとに取扱いが異なります。
副業は「収入」と「所得」で金額が変わる。場面ごとに使う数字を確かめる
副業の金額は「収入」と「所得」のどちらで見るかも大切です。収入は受け取った金額の合計、所得は収入から必要経費(給与は給与所得控除)を引いた金額です。
国税庁は、原稿料などの副業に係る所得を雑所得の例に挙げています(国税庁 No.1300 所得の区分のあらまし)。業務委託の副業で売上が50万円、経費が20万円なら、所得は30万円です。税金の判定は所得、社会保険の扶養は収入(自営の収入は経費を引いた額)というように、同じ副業でも場面によって使う数字が変わります。
転職の応募書類・面接で伝える年収
転職活動では、応募書類や面接で「現在の年収」を聞かれます。副業をしている人の伝え方を解説します。
応募書類の現年収は、本業の源泉徴収票の支払金額を書くのが基本
応募書類の現年収は、応募先が今の給与水準を知り、提示額の参考にするための数字です。そのため、本業の源泉徴収票の「支払金額」を基本にすると分かりやすいでしょう。手取りではなく、賞与や残業代を含む額面で書くのが一般的です。
副業を合算した金額を「現年収」として1つの数字で書くと、本業の給与がその額だと受け取られる可能性があります。
副業の収入も伝えるなら「本業◯万円+副業◯万円」と内訳で示す
副業の内容が応募先の仕事に関係する場合(Web制作の副業でWeb系の職種に応募するなど)は、副業の実績がアピール材料になることがあります。その場合は次の3つを分けて伝えます。
- 本業の年収:源泉徴収票の支払金額(例:480万円)
- 副業の収入:確定申告書の控えや入金の記録で確かめた金額(例:売上60万円・所得40万円)
- 副業の内容:仕事の種類、期間、契約の形(業務委託・アルバイト)
希望年収を相談するときも、根拠は本業の年収と経験・実績にするのが一般的です。希望額の決め方や伝え方は、転職の年収交渉のやり方で例文とあわせて解説しています。
合算した額を本業の年収として伝えない。入社後に前職の源泉徴収票で分かることがある
年の途中で入社した人は、年末調整のために前の会社の源泉徴収票を新しい会社に提出するのが一般的です。国税庁も、中途で就職した人の年末調整は前の会社の給与を含めて行い、その確認は源泉徴収票などで行うとしています(国税庁 No.2674 中途就職者の年末調整・令和8年4月1日現在法令等)。
前の会社の源泉徴収票には副業の収入は入らないため、副業を合算した額を本業の年収として伝えていると、食い違いが表に出ることがあります。本業分は源泉徴収票の数字にそろえ、副業分は別に示すのが安全です。副業を続けたい場合は、転職先の就業規則で副業が認められているかも内定の前後に確かめておきます。
住宅ローンの審査で見られる年収
住宅ローンの審査では、年収に対して返済額が無理のない範囲かが確かめられます。副業の収入の扱いは金融機関によって異なります。
副業の収入を審査の年収に含めるかは、金融機関・商品ごとに異なる
住宅ローンの審査で使う年収の決め方は、各金融機関が商品ごとに定めています。副業の収入を年収に含めるか、含める場合にどの書類で確認するかは、申し込む金融機関に確かめる必要があります。
審査の年収は、源泉徴収票や確定申告書、課税証明書などの書類で確認されることが多く、書類に表れていない収入は考慮されない可能性があります。
【フラット35】の年収は、給与だけの人は給与収入、それ以外の人は所得金額の合計
公表されている例として、住宅金融支援機構の【フラット35】では、年収は原則として申込年の前年の収入を証する公的証明書に記載された次の金額です(2026年4月1日現在)。
| 区分 | 年収として扱う金額 |
|---|---|
| 給与収入のみの人 | 給与収入金額 |
| それ以外の人 | 所得金額(事業所得、不動産所得、利子所得、配当所得および給与所得の所得金額の合計額) |
表の区分どおりに読むと、公的証明書に給与以外の所得がある人は、給与も「給与所得」(給与収入から給与所得控除を引いた額)で計算します。また、機構の「よくある質問」では、雑所得で年収の対象になるのは公的年金等に限るとされています(【フラット35】よくある質問 Q&A番号343)。雑所得として申告している原稿料などの副業は、【フラット35】の年収に含まれません。事業所得として申告している副業は対象に入ります。副業先の給与も、公的証明書で確認できれば本業の給与と合計できるとされています(同 Q&A番号4600)。自分がどの区分にあたるかや必要な書類は、取扱金融機関で確認してください。
なお、【フラット35】には、年収に占める年間返済額の割合(総返済負担率)を年収400万円未満は30%以下、400万円以上は35%以下とする基準があります。
副業の収入を見てもらうなら確定申告で書類に残す。申込書に実際より多く書かない
副業の収入を年収に含めてもらえる場合でも、確認の材料は確定申告書の控えなど第三者が確かめられる書類です。何年分が必要かも金融機関によって違います。また、見込みの副業収入を上乗せして申込書の年収を多く書くのは避けてください。提出書類と食い違ううえ、家計に見合わない返済額を背負うことになりかねません。
税金・ふるさと納税での副業収入の扱い
税金の計算では、副業の収入も本業の給与と合わせて扱われます。確定申告とふるさと納税への影響も確認します。
所得税と住民税は、副業を含めたすべての所得を合計して計算する
所得税は、給与所得・事業所得・雑所得などの各種の所得を合計して税額を計算する仕組みです(国税庁 No.2220 総合課税制度・令和8年4月1日現在法令等)。住民税の所得割も、前年1月1日から12月31日までの所得をもとに、税率10%で計算されます(総務省「個人住民税」)。
つまり、税金の計算では、副業の所得も本業の給与と同じ「1年間の所得」に含まれます。副業の所得が増えれば、所得税と住民税もその分増えます。
所得税の税率は5%から45%の7段階です(国税庁 No.2260 所得税の税率・令和8年4月1日現在法令等)。たとえば副業の所得が30万円で、副業分を足しても課税される所得金額が195万円未満の人なら、所得税(税率5%)は約1万5,000円、住民税の所得割(税率10%)は約3万円増える計算です(復興特別所得税を除く目安)。
確定申告は副業の所得が20万円を超えると必要。20万円以下でも住民税の申告は必要
給与を1か所から受けている会社員は、給与所得・退職所得以外の所得の合計が20万円を超えると確定申告が必要です。副業先からも給与を受けている人は、年末調整されなかった給与の収入金額を加えて20万円を超えるかで判定します(例外あり。国税庁 No.1900・令和8年4月1日現在法令等)。
20万円以下で確定申告が不要な場合でも、業務委託などの給与以外の所得は、お住まいの市区町村への住民税の申告が別に必要です。金額の判定方法や申告の手順は、副業の確定申告はいくらからで詳しく解説しています。
ふるさと納税の上限は副業を含めた所得で決まる。確定申告する人はワンストップ特例を使えない
ふるさと納税は、寄附額から2,000円を引いた額が、一定の上限まで所得税と住民税から控除される仕組みです。住民税の特例分は住民税所得割額の2割が上限です(総務省「税金の控除について」)。
住民税所得割額は副業の所得も含めて計算されるため、控除の上限も、副業の所得を含めた金額で決まります。給与収入だけで計算する簡易的な目安には、副業の所得が反映されません。年収別・家族構成別の上限の目安はふるさと納税の上限を年収別に確認で紹介しています。
また、ワンストップ特例は、確定申告の不要な給与所得者等で寄附先が5団体以内の場合の手続きです。副業の所得で確定申告をする年は、ふるさと納税の分も確定申告で控除を受ける必要があります(総務省「ふるさと納税ワンストップ特例制度」)。会社員が使える控除の全体像は、会社員の節税一覧で整理しています。
扶養・社会保険の判定での副業収入の扱い
家族の扶養に入っている人や、自分の社会保険料が気になる人向けに、副業の収入の扱いを整理します。税と社会保険で基準が違う点がポイントです。
税の扶養は、副業を含めた合計所得金額で判定する。令和8年分の配偶者控除は62万円以下
配偶者控除や扶養控除の対象になるかは、扶養される人の年間の合計所得金額で判定します。合計所得金額は給与所得や雑所得などを合わせた金額のため、パートの給与と副業の所得がある場合は、両方を合わせて判定します。
配偶者控除の要件は、令和8年分から合計所得金額62万円以下(給与のみの場合は給与収入136万円以下。令和8年12月1日施行・令和8年分から適用)です。令和7年分は58万円以下(同123万円以下)でした(国税庁 No.1191 配偶者控除・令和8年4月1日現在法令等)。62万円超133万円以下なら配偶者特別控除の対象になる場合があります。「給与収入136万円以下」は給与だけの人の目安で、副業の所得がある人には当てはまりません。
社会保険の扶養は、副業を含めた今後1年間の収入見込みが130万円未満かで判定する
健康保険の扶養(被扶養者)に入れるかは、今後1年間の収入の見込みが130万円未満(60歳以上または障害者は180万円未満、配偶者以外の19歳以上23歳未満は150万円未満)かどうかで判定します。同居の場合は、扶養する人の収入の半分未満であることも条件です(日本年金機構「家族を被扶養者にするときの手続き」・2026年9月30日更新)。
日本年金機構は、自営による収入がある場合の確認書類を定め、自営業者の収入額は必要経費を差し引いた額としています。この考え方に沿うと、業務委託の副業の収入も、必要経費を引いた額で収入の見込みに含めて判定されます。ただし、どの経費を差し引けるかは健康保険組合によって扱いが異なる場合があります。なお、令和8年4月1日からの労働契約の内容で判定する取扱いは、給与収入のみで他の収入が見込まれない人が対象のため、業務委託の副業がある人は使えません(日本年金機構「労働契約内容による被扶養者の認定」)。
税の扶養は1月から12月の所得、社会保険の扶養はこれから1年間の見込みと、見る期間も違います。健康保険組合によって確認方法が異なる場合もあるため、家族の勤務先を通じて確かめてください。
自分の社会保険料は、業務委託の副業なら変わらない。副業先でも加入すると報酬を合算する
会社員本人の厚生年金保険料は、勤務先から受け取る給与(標準報酬月額)と賞与に保険料率をかけて計算されます(日本年金機構「厚生年金保険の保険料」・2026年9月30日更新)。業務委託の副業の報酬は勤務先からの給与ではないため、計算に入りません。
一方、副業先でも社会保険の加入条件を満たすと、両方の報酬月額を合算して保険料を決め、本人が10日以内に「二以上事業所勤務届」を出します(日本年金機構)。副業の金額ごとの税金・社会保険の基準は、会社員の副業はいくらまででまとめています。
年収に副業を含めるときの注意点
副業の収入の扱いを誤ると、手続きのやり直しや思わぬ税負担につながることがあります。ここでは、特に気をつけたい2つの点を紹介します。
副業は就業規則を確認する。住民税の金額から会社に伝わることもある
副業の収入を年収に含めるかを考える前に、勤務先の就業規則(副業規定)で副業が認められているかを確かめておく必要があります。扱いは許可制・届出制・禁止など会社によって異なり、公務員は国家公務員法・地方公務員法で兼業が制限されています。
また、会社員の住民税は原則として給与から天引き(特別徴収)されるため、副業の所得で住民税が増えると、その金額から副業に気づかれることがあります。正社員の副業が法律上どう扱われるかは正社員は副業してもいい?で、就業規則の確かめ方は会社員の副業の始め方で、住民税で副業が伝わる仕組みは副業が会社にバレる理由で解説しています。
副業の収入と経費は記録し、確定申告書の控えを保管する
どの場面でも根拠になるのは記録と書類です。業務委託の副業なら入金額と経費を記録し、確定申告をした年は申告書の控えを保管します。
確定申告をしない年も記録は残すと決めておくと、急に金額を聞かれても困りません。
年収と副業に関するよくある質問
よく聞かれる疑問に答えます。
単発のアルバイトアプリで働いた収入も、雇用契約なら給与として扱われる
アプリで単発のアルバイトを探して働く場合も、働き先と雇用契約を結んで受け取るお金は給与です。本業以外の給与は従たる給与となり、原則として年末調整されません(国税庁 No.2520)。
確定申告が必要かは前述の20万円の基準(年末調整されなかった給与を含めて判定)で確かめ、扶養の判定でも収入に含めます。働き先ごとの源泉徴収票は、まとめて保管しておきます。
不用品をフリマで売ったお金には、原則として所得税がかからない
家具や衣服など、生活に通常必要なものを売って得た所得には、所得税がかかりません。ただし、貴金属や宝石、書画、骨とうなどで、1個または1組の価額が30万円を超えるものは除かれます(国税庁 No.3105・令和8年4月1日現在法令等)。
一方、仕入れた商品を繰り返し売る場合や自作の作品を売る場合は、事業所得や雑所得として課税の対象になることがあります。また、税金がかからないことと、就業規則上の「副業」にあたるかは別の話です。迷う場合は就業規則で確かめてください。
確定申告が不要な20万円以下の副業でも、扶養や住民税の判定には含まれる
「20万円以下なら申告不要」は所得税の確定申告の基準で、副業の所得が所得の合計から除かれるわけではありません。税の扶養、住民税、社会保険の扶養の判定には20万円以下の副業も含まれます。
【まとめ】年収に副業を含むかは場面ごとに確かめよう
当記事では、年収に副業を含むかどうかを場面ごとに紹介しました。ポイントは次の通りです。
- 会社員の「年収」は、本業の額面給与(源泉徴収票の支払金額)を指すことが多い
- 転職で伝える現年収は本業の額面が基本。副業は内訳を分けて伝える
- 住宅ローンは金融機関・商品ごとに違う。【フラット35】の年収に副業の雑所得は含まれない
- 所得税・住民税・ふるさと納税の上限・税の扶養は、副業を含めた所得で決まる
- 社会保険の扶養は、副業を含めた今後1年間の収入見込みで判定する
まずやる1つは、本業の源泉徴収票と、副業の収入・経費の記録(確定申告をした人は申告書の控え)を並べて、「本業の年収」と「副業の所得」をそれぞれ書き出すことです。2つを分けておけば、どの場面でも求められる金額を選べます。年収を上げる方法の全体像は、年収を上げたい人がやるべきこともあわせて参考にしてみてください。
副業の収入は保証されるものではありません。会社員の方は勤務先の就業規則(副業規定)を確認してください。副業の所得が年間20万円を超える場合などは確定申告が必要になることがあります。本記事の情報は2026年10月18日時点のものです。

