「何年働いても給料がほとんど変わらない」と感じている方は少なくありません。給料が上がらない会社には、昇給の仕組み・業績・勤続による伸び方に共通する特徴があり、就業規則と給与明細を見ればある程度確かめられます。
当記事では、給料が上がらない会社の特徴5つ、自分の会社が当てはまるかの確かめ方、辞めるべきかの見極め方を、厚生労働省の統計と労働基準法をもとに解説します。あわせて、今の会社で働きながらできることも整理します。
給料が上がらない会社の特徴5つ
給料が上がらない理由は、本人の頑張りより会社側の仕組みや状況にあることも多いものです。ここでは、厚生労働省の調査で差が見える5つの特徴を紹介します。役職や担当業務が変わらない、雇用形態が正社員以外といった個人側の理由や、業界・企業規模による差も含めた全体像は、年収が上がらない理由と理由別の対処法で解説しています。
| 特徴 | 確かめる場所 |
|---|---|
| 1. 昇給の時期や基準が決まっていない | 就業規則・賃金規程 |
| 2. 業績が伸びず賃上げの原資が少ない | 会社の業績・決算の情報 |
| 3. 勤続年数を重ねても給料の伸びが小さい | 先輩社員の待遇・給与テーブル |
| 4. ベースアップがなく基本給が据え置かれる | 給与明細の基本給 |
| 5. 社員の声が賃金の決め方に届きにくい | 労使の話し合いの場の有無 |
特徴1:昇給の時期や基準が決まっていない、または説明されない
給料が上がらない会社の特徴の1つ目は、毎年いつ・何を基準に昇給するのかが決まっていない、または社員に説明されていないことです。基準がないと、成果を出しても昇給の幅は会社の判断次第になり、何をすれば上がるのかも分かりません。
厚生労働省「令和7年賃金引上げ等の実態に関する調査」によると、毎年決まった時期に昇給する定期昇給制度(定昇制度)が「ある」企業は81.2%、「ない」企業は17.7%でした。規模別に見ると、定昇制度が「ない」割合は100〜299人の企業が20.0%と最も高くなっています。
| 企業規模 | 定昇制度あり | 定昇制度なし |
|---|---|---|
| 全体 | 81.2% | 17.7% |
| 5,000人以上 | 88.7% | 10.3% |
| 1,000〜4,999人 | 92.0% | 7.7% |
| 300〜999人 | 85.4% | 13.5% |
| 100〜299人 | 78.7% | 20.0% |
※常用労働者100人以上の民間企業のうち、2025年中に賃金の改定を実施した・予定している企業と、改定を実施しない企業が対象。引用:厚生労働省「令和7年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況」(令和7年10月公表)
なお、定昇制度がある企業でも、その内容は「自動昇給」が27.5%、「その他(業績評価など)」が72.4%(複数回答)です。多くの会社では評価の結果で昇給の幅が変わるため、制度があるかどうかに加えて、評価の基準が社員に示されているかも大切な見どころになります。
特徴2:業績が伸びておらず、賃上げに回すお金が生まれにくい
2つ目の特徴は、売上や利益が伸びておらず、給料を上げるための原資が会社に残りにくいことです。賃上げの額を決めるとき、最も重視する要素に業績を挙げる企業が最も多いからです。
同じ調査で、賃金の改定を決めるときに最も重視した要素は「企業の業績」が41.7%で最も多く、「労働力の確保・定着」17.0%、「雇用の維持」11.9%が続きます。また、2025年に賃金の改定を実施しない企業では、業況を「悪い」と答えた割合が34.6%で、全企業の13.1%を大きく上回っていました。
業績が厳しい会社が賃上げに慎重になるのは自然な判断です。ただし、業績が何年も横ばいで、回復の見通しも示されない場合は、個人の評価が高くても上がり幅は小さくなりやすいでしょう。
特徴3:勤続年数を重ねても給料の伸びが小さい
3つ目の特徴は、長く勤めても月給がなかなか伸びず、10年・20年先輩の給料と大きな差がないことです。勤続による伸び方は、会社の規模によっても違いが出ています。
| 勤続年数 | 大企業 | 中企業 | 小企業 |
|---|---|---|---|
| 0年 | 292,600円 | 273,400円 | 255,200円 |
| 10〜14年 | 367,600円 | 323,200円 | 311,800円 |
| 20〜24年 | 467,800円 | 378,600円 | 344,700円 |
| 30年以上 | 496,800円 | 413,800円 | 366,700円 |
※一般労働者の所定内給与額(2025年6月分・男女計。残業代・賞与を含まない、税金などが引かれる前の月額)。大企業は常用労働者1,000人以上、中企業は100〜999人、小企業は10〜99人。引用:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況」(令和8年3月公表)
勤続0年と30年以上を比べると、大企業は約1.7倍、中企業は約1.5倍、小企業は約1.4倍です。ただし、この表は同じ人の給料の変化を追ったものではなく、2025年時点で勤続年数が違う人の月給を並べたものです。自分の会社で10年ほど上の先輩の待遇を思い浮かべると、将来の給料を想像しやすくなります。
特徴4:ベースアップがなく、物価が上がっても基本給が据え置かれる
4つ目の特徴は、給与テーブル全体を引き上げるベースアップ(ベア)が行われず、基本給の水準が何年も変わらないことです。定期昇給が個人の年齢や評価に応じた昇給なのに対し、ベアは社員全体の賃金水準を底上げするものです。
厚生労働省「令和7年賃金引上げ等の実態に関する調査」では、定昇制度がある企業のうち、2025年に「ベアを行った・行う」企業は57.8%、「ベアを行わなかった・行わない」企業は15.1%でした(定昇とベアの区別がない企業は25.5%)。規模別では、5,000人以上で85.2%、100〜299人で53.3%がベアを行っています。
物価が上がる中で基本給が据え置かれると、生活は苦しくなります。給与明細で手当や残業代ではなく「基本給」が毎年どう動いているかを見ると、ベアの有無を推し量る手がかりになります。物価に給料が追いつかないときの対策は物価上昇で給料が上がらないときの対策でまとめています。
特徴5:社員の声が賃金の決め方に届きにくい
5つ目の特徴は、賃金について会社と社員が話し合う場がなく、要望や相場の変化が給料に反映されにくいことです。統計では、労働組合の有無で賃上げの状況に差が出ています。
| 項目(2025年) | 労働組合あり | 労働組合なし |
|---|---|---|
| 1人平均賃金を引き上げた企業 | 95.5% | 90.4% |
| 1人平均賃金の改定額(月額) | 15,229円 | 11,980円 |
| 定昇制度がある企業 | 92.3% | 77.9% |
| ベアを行った企業(定昇制度がある企業のうち) | 82.1% | 49.4% |
※引用:厚生労働省「令和7年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況」
労働組合がない会社が悪いということではなく、組合がなくても評価面談や社員アンケートで声を拾っている会社もあります。見るべきなのは、給料について質問や相談をしたときに、きちんと説明が返ってくる仕組みがあるかどうかです。
自分の会社が給料が上がらない会社か確かめる方法
5つの特徴は、印象だけで判断すると見誤ることがあります。ここでは、手元の書類と会社への質問で、当てはまるかどうかを確かめる手順を紹介します。
就業規則と賃金規程で、昇給の時期と基準を読む
最初に見るのは、就業規則や賃金規程に書かれた「昇給」の項目です。労働基準法第89条では、常時10人以上の労働者を使用する会社は、昇給に関する事項を含めて就業規則を作成し、労働基準監督署に届け出ることが定められています。
また、労働基準法第106条により、会社は就業規則を見やすい場所への掲示や備え付け、書面の交付などで社員に周知しなければなりません。社内のイントラネットや総務の窓口で確認できることが多いため、次の点を読んでみてください。
- 昇給の時期(年1回・4月など)
- 昇給の基準(評価・等級・勤続年数など)
- 「業績により昇給しないことがある」などの条件
- 等級ごとの給与の幅(給与テーブル)が示されているか
過去3年分の給与明細で、基本給の上がり幅を比べる
次に、過去3年分の同じ月の給与明細を並べ、基本給がいくら上がったかを確かめます。残業代や手当は月によって変わるため、基本給だけで比べます。
比べる目安として、厚生労働省「令和7年賃金引上げ等の実態に関する調査」では、2025年の1人平均賃金の改定額は月13,601円、改定率は4.4%でした。100〜299人の企業に限ると10,264円・3.6%です。これは常用労働者100人以上の企業の平均で、残業代や賞与を含まない月給の改定額です。個人の昇給額を示すものではありませんが、数年続けてこの水準を大きく下回っているなら、会社の仕組みや業績に原因がないかを疑うきっかけになります。
評価面談で「次に給料が上がる条件」を具体的に聞く
書類で分からないことは、評価面談などの機会に、上司に昇給・昇格の条件を具体的に聞くことで確かめられます。聞き方の例は次の通りです。
- 「次の等級に上がるには、どのような成果が必要ですか」
- 「今期の評価が昇給にどう反映されるのか教えてください」
- 「同じ等級の給与の上限はどのくらいですか」
答えが具体的なら、基準に沿って成果を出すことで昇給を目指せます。一方、「会社が決めることだから」と説明がない場合や、条件を満たしても昇給しない状態が続く場合は、特徴1や特徴5に当てはまる可能性が高いといえます。
会社の業績と賃上げの方針は、社内の説明や公開情報で確かめる
業績については、社内の業績報告や経営方針の説明会、会社の公式サイトで公表されている決算の情報が手がかりになります。売上や利益が数年続けて減っていないか、賃上げの方針が示されているかが見どころです。
上場企業であれば、金融庁のEDINETで閲覧できる有価証券報告書の「従業員の状況」に、その会社(提出会社)の従業員の平均年間給与(賞与を含む)が載っています。数年分を比べると、給与水準の動きをつかめます。
給料が上がらない会社を辞めるべきかの見極め方
特徴に当てはまっても、すぐに辞めるのが正解とは限りません。ここでは、転職を考えてよい状態と、残る選択にも理由がある状態を分けて整理します。
| 確かめた結果 | 考え方の目安 |
|---|---|
| 昇給の基準がなく、聞いても説明がない | 転職を検討する材料になる |
| 基準を満たしても数年昇給しない | 転職を検討する材料になる |
| 業績が悪化し、回復の見通しも示されない | 情報を集めながら転職の準備を始める |
| 基準は明確で、次の昇格が見えている | 今の会社で昇給を目指す余地がある |
| 給料は低めだが、転職で評価される経験を積めている | 期限を決めて残る選択もある |
※判断の目安を示したもので、家計や年齢、健康状態などによって適した選択は変わります。
確かめても給料が上がる道筋が見えないなら、転職を考えてよい
就業規則・給与明細・面談の3つで確かめても、何をすれば給料が上がるのかが見えない場合は、転職を考えてよいタイミングです。個人の努力で変えられるのは評価の部分までで、昇給の仕組みや業績、給与テーブルの水準は会社が決めるものだからです。
ただし、転職すれば必ず給料が上がるわけではありません。厚生労働省「令和7年雇用動向調査」によると、転職した人のうち前職より賃金が「増加」した人は40.8%、「減少」した人は31.0%、「変わらない」人は25.5%でした。上がる会社を選ぶには、今の会社の特徴と比べながら、転職先の昇給制度まで確かめることが大切です。転職すべきかの判断基準と在職中の進め方は給料が上がらないなら転職すべきかの解説で紹介しています。
※令和7(2025)年1年間の転職入職者(前職が雇用者の人)の、前職と比べた賃金の変動。引用:厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概要」(令和8年8月公表)
昇給の基準が明確で、評価される経験を積めているなら残る選択もある
反対に、昇給の基準がはっきりしていて、次の昇格までに必要なことが分かっている場合は、今の会社で上げる余地があります。また、今は給料が低めでも、転職市場で評価される資格や実務経験を積んでいる途中なら、時期を決めて残るのも1つの考え方です。
残ると決めた場合も、「次の評価で昇格できなければ転職活動を始める」のように期限と条件を決めておくと、ずるずると時間が過ぎるのを防げます。給料の安さそのものを理由に辞めるか迷っている場合の判断基準は、給料が安いから辞めたいときの判断基準で詳しく解説しています。
迷うときは、今の会社に残った場合の3年後の月給を試算して比べる
辞めるか残るかで迷うときは、今の会社の昇給ペースが続いた場合の3年後の月給を計算してみることが判断材料になります。たとえば月給25万円の人の場合、次のようになります。
| 毎年の昇給率 | 3年後の月給 | 今との差 |
|---|---|---|
| 1% | 約25万7,600円 | 約7,600円 |
| 4.4% | 約28万4,500円 | 約3万4,500円 |
※月給25万円から毎年同じ率で昇給した場合の試算(複利計算・100円未満四捨五入)。4.4%は前述の2025年の1人平均賃金の改定率で、毎年同じ率で上がることを示すものではありません。
同じ3年でも、月給の差は約2万7,000円、年間では賞与を除いて約32万円になります。この差と、転職先で提示される年収、退職金や通勤時間などの条件を並べると、感覚ではなく数字で比べられます。
昇給しないこと自体は違法とはいえないが、最低賃金割れや残業代の未払いは別
「給料が何年も上がらないのは違法では」と考える方もいますが、昇給の有無や基準は会社ごとに決められており、昇給しないことだけで直ちに違法とはいえません。ただし、就業規則や雇用契約書に昇給の時期や基準が具体的に書かれているのに、説明もなく昇給が行われない場合は、まず会社に理由を確認しましょう。それでも納得できないときは、都道府県労働局の総合労働相談コーナーに相談できます(予約不要・無料)。
また、給料が地域別最低賃金を下回っていたり、残業代が支払われていなかったりする場合は、昇給とは別の問題で、労働基準監督署に相談できます。最低賃金や残業代の確かめ方は、給料が安いから辞めたいときの判断基準で解説しています。
給料が上がらない会社で働きながらできること
辞めるかどうかを決める前でも、今の会社で働きながら進められることがあります。年収を上げる方法の全体像は、年収を上げたい人がやるべき5つの方法で整理しています。
評価の基準に沿って実績を記録し、昇給を相談する
昇給の基準が分かっているなら、基準に沿った実績を数字や事実で記録し、評価の時期に合わせて昇給を相談することから始められます。相談して変わらなかったとしても、会社の考え方がはっきりするため、辞めるかどうかの判断材料になります。準備の仕方や伝え方は、昇給交渉のやり方で例文とあわせて解説しています。
在職中に転職活動をして、自分の市場での年収を確かめる
転職を考え始めたら、退職する前に転職活動を進め、実際に提示される年収を確かめておくことが安全です。提示年収が今より低ければ、残って経験を積む判断もできます。面接では、転職先の昇給の時期や評価制度も質問しておくと、また給料が上がらない会社を選ぶリスクを減らせます。
転職で年収を上げる進め方は転職で年収アップする方法で、年収が下がりやすいケースと対策は転職で年収が下がる人の割合と対策で解説しています。
すぐに給料が動かないなら、副業や固定費の見直しで手元のお金を増やす
昇給も転職もすぐには進まない場合は、副業で収入を足すか、固定費を見直して手元に残るお金を増やす方法もあります。副業は就業規則で認められているかを先に確かめ、給与以外の所得が年20万円を超える場合などは確定申告が必要になります。収入が得られる保証はないため、無理のない範囲で始めることが大切です。
副業を始める前の確認事項は会社員の副業の始め方で、通信費や保険料など見直しやすい支出は固定費削減の見直しリストで紹介しています。
【まとめ】給料が上がらない会社の特徴を就業規則と給与明細で確かめよう
当記事では、給料が上がらない会社の特徴と、辞めるべきかの見極め方を、厚生労働省の統計と労働基準法をもとにご紹介しました。ポイントは次の通りです。
- 給料が上がらない会社の特徴は「昇給の基準がない」「業績が伸びない」「勤続による伸びが小さい」「ベアがない」「社員の声が届きにくい」の5つ
- 定昇制度がない企業は17.7%、100〜299人の企業では20.0%(厚生労働省「令和7年賃金引上げ等の実態に関する調査」)
- 賃金の改定で最も重視されるのは「企業の業績」(41.7%)
- 確かめても給料が上がる道筋が見えないなら転職を考えてよい。ただし転職で賃金が増加した人は40.8%
- 辞める前に、在職中の転職活動で提示年収を確かめる
今の会社がどの特徴に当てはまるかは、手元の書類で確かめられます。まずは就業規則で昇給の時期と基準を読み、過去3年分の給与明細で基本給の上がり幅を確かめることから始めてみてください。転職を考える場合は、転職で年収アップする方法の記事も参考になります。
本記事は一般的な情報の提供を目的としており、収入の増加や特定の結果を保証するものではありません。税金・社会保険・制度の内容は改正されることがあるため、最新情報は公的機関の公式サイトでご確認ください。本記事の情報は2026年10月時点のものです。

