「副業はいくらまでなら稼いでも大丈夫なのか」と気になっている会社員の方は多いでしょう。結論から言うと、会社員の副業の収入に、法律で決められた上限はありません。ただし、所得が年20万円を超えると所得税の確定申告が必要になるなど、金額に応じて必要な手続きが変わります。
当記事では、副業の金額ごとに必要になる税金の手続き、社会保険の扱い、扶養に入っている場合の基準を、国税庁・日本年金機構・厚生労働省の情報をもとに解説します。あわせて、雇用型の副業で気をつけたい労働時間の上限も整理します。
会社員の副業はいくらまで稼いでいい?
副業で稼いでよい金額に上限はありません。気をつけたいのは「いくらまで稼げるか」ではなく、金額によって税金・社会保険・扶養の手続きが変わる点と、勤務先の就業規則です。
副業の収入に法律上の上限はない。制限があるとすれば勤務先の就業規則
民間企業の会社員について、副業の収入額に上限を設ける法律はありません。厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(令和4年7月改定)も、労働時間以外の時間をどう使うかは基本的に労働者の自由と整理しています。正社員の副業の法律上の扱いは正社員は副業してもいい?法律と就業規則の確認方法で詳しく解説しています。
ガイドラインが、会社が副業を制限できる場合として挙げているのは、本業への支障・秘密の漏えい・競業・会社の信用を損なう場合で、金額そのものは基準に挙がっていません。実際のルールは勤務先の就業規則で決まります。副業が届出制か許可制か、時間や内容の制限がないかの確かめ方は会社員の副業の始め方で解説しています。
なお、公務員は法律(国家公務員法第103条・第104条、地方公務員法第38条)で兼業が制限されており、報酬を得て働く場合などは原則として許可(承認)が必要です。
「いくらまで」で確認したいのは税金・社会保険・扶養の3つの基準
副業の金額で手続きが変わるのは、主に次の場面です。自分に関係する行だけ確認すれば十分です。
| 金額の基準 | 起きること | 対象になる人 |
|---|---|---|
| 所得が年20万円超 | 所得税の確定申告が必要 | 業務委託などで給与以外の所得がある会社員 |
| 年末調整されない給与の収入が年20万円超 | 所得税の確定申告が必要 | アルバイトなど副業先からも給与を受ける会社員 |
| 金額にかかわらず | 住民税の申告が必要(確定申告をしない場合) | 業務委託など給与以外の所得がある会社員 |
| 合計所得が年62万円超 | 配偶者控除の対象外になり、配偶者特別控除に移る(令和8年分) | 配偶者の扶養に入っている人 |
| 年間収入が130万円以上の見込み | 社会保険の扶養から外れる | 配偶者などの社会保険の扶養に入っている人 |
※2026年10月時点の制度。所得税の基準は国税庁、社会保険の基準は日本年金機構の案内による。詳しい条件は各H3で解説しています。
副業がアルバイトで、副業先でも加入条件を満たす場合は社会保険の手続きも必要です(後述)。
副業の金額ごとに必要な税金の手続き
副業の税金で押さえたいのは、所得税の確定申告が必要になる「20万円」の基準と、住民税の申告です。申告のやり方や経費の考え方は副業の確定申告はいくらからで詳しく解説しているため、ここでは金額の基準に絞って整理します。
業務委託などの副業は「所得」が年20万円を超えたら確定申告が必要
国税庁によると、給与を1か所から受けていて、その給与の全部が源泉徴収の対象となる会社員は、給与所得・退職所得以外の所得の合計額が20万円を超えると確定申告が必要です(国税庁 No.1900・令和8年4月1日現在法令等)。
20万円は売上ではなく、収入から必要経費を引いた「所得」で判定します。例えば副業の収入が年30万円でも、経費が12万円なら所得は18万円で、所得税の確定申告は不要です。副業が複数ある場合は、すべての所得を合計して判定します。
20万円以下でも住民税の申告は必要。税金がかからない金額があるわけではない
「20万円以下なら税金はかからない」と考えがちですが、20万円以下で不要になるのは所得税の確定申告だけです。住民税には同じ基準がないため、所得税の確定申告をしない場合は、業務委託など給与以外の副業の所得をお住まいの市区町村に申告します。所得税の確定申告をした場合は、住民税の申告もしたものとみなされます。
「いくらまでならバレない」という金額の基準もありません。副業の所得を申告すると住民税の額が変わり、その税額が本業の会社に通知されるためです。会社が気づく仕組みと届け出の考え方は、副業が会社にバレる理由で解説しています。
副業がアルバイトなら、年末調整されない給与の「収入」が20万円を超えたら確定申告
副業がアルバイト・パートの場合は、判定に使う金額が変わります。年末調整は通常、扶養控除等申告書を出した本業の会社だけで行われ、副業先の給与は年末調整されません(国税庁 No.2665)。
国税庁 No.1900では、給与を2か所以上から受けている人は、年末調整されなかった給与の収入金額と、給与以外の所得の合計が20万円を超えると確定申告が必要とされています。経費を引いた所得ではなく、給与の額面で判定する点に注意しましょう。アプリを通じて店舗などと雇用契約を結ぶ単発のアルバイト(スポットワーク)も、雇用契約であれば給与として同じように扱われます。
※給与の収入金額の合計から所得控除(雑損控除・医療費控除・寄附金控除・基礎控除を除く)を引いた額が150万円以下で、給与以外の所得が20万円以下の人は申告不要です(国税庁 No.1900)。
副業で月10万円(年120万円)稼ぐなら確定申告が必要。税金は本業と合わせた所得で決まる
副業で月10万円、年120万円の収入があれば、経費を大きく引けない限り20万円の基準を超えるため、確定申告が必要です。月5万円(年60万円)でも、経費が40万円を超えない限り同じです。副業の所得は本業の給与所得と合算され、所得税は5〜45%の累進税率で計算されます。そのため、同じ副業の金額でも、本業の年収が高い人ほど税金が多くなります。
| 本業と合わせた課税所得の帯 | 所得税(復興特別所得税含む) | 住民税(所得割) | 合計の目安 |
|---|---|---|---|
| 195万円未満(税率5%) | 約6.1万円 | 約12万円 | 約18万円 |
| 195万〜330万円(税率10%) | 約12.3万円 | 約12万円 | 約24万円 |
| 330万〜695万円(税率20%) | 約24.5万円 | 約12万円 | 約37万円 |
※副業の所得120万円(経費0円)がすべて同じ税率の帯に収まる場合の概算(令和8年分・編集部試算)。所得税は120万円×税率×1.021、住民税は120万円×10%で計算。実際の税額は経費・控除や、税率の帯をまたぐかどうかで変わります。
副業の収入が増えたら、売上の一部を納税用に取り分けておくと、申告後に慌てずに済みます。月10万円を目指すときの時間や単価の目安は副業で月10万円を稼ぐ目安で解説しています。控除を使って税金を抑える方法は手取りを増やす方法で紹介しています。
副業の働き方と金額で変わる社会保険
社会保険(健康保険・厚生年金保険)への影響は、副業の金額よりも働き方で決まります。業務委託かアルバイトかで扱いが大きく違います。
業務委託の副業は、いくら稼いでも勤務先の社会保険料には影響しない
日本年金機構によると、厚生年金保険料は、被保険者が受け取る給与をもとに決めた標準報酬月額に保険料率をかけて計算されます(日本年金機構「厚生年金保険の保険料」)。健康保険法でも、報酬は「労働者が、労働の対償として受けるすべてのもの」と定められています(第3条第5項)。そのため、業務委託や物販など給与ではない副業の収入は、本業の社会保険料の計算に入りません。
ただし、副業の所得は所得税・住民税の計算には入ります。社会保険料が変わらなくても、税金の申告は必要です。
副業先でも雇用されて加入条件を満たすと「二以上事業所勤務届」が必要
副業がアルバイトなどの雇用で、副業先でも健康保険・厚生年金保険の加入条件を満たす場合は、事実発生から10日以内に、本人が「被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を提出します。両方の会社の報酬を合算して標準報酬月額が決まり、保険料はそれぞれの会社の報酬に応じて按分されます(日本年金機構「複数の事業所に雇用されるようになったときの手続き」)。
短時間のアルバイトが加入対象になるのは、主に次の条件をすべて満たす場合です(2026年10月時点)。
- 副業先が、厚生年金保険の被保険者数51人以上の企業など(特定適用事業所)である
- 週の所定労働時間が20時間以上である
- 学生ではない(2か月以内の期間を定めた雇用などは対象外)
以前は「月額賃金8.8万円以上」という賃金の条件もありましたが、2026年10月1日から短時間労働者の賃金要件は撤廃されています。また、令和9年10月からは企業規模の条件が「36人以上」に広がる予定です(日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大のご案内」)。
扶養に入っている人の副業はいくらまで?
パート勤務などで配偶者の扶養に入っている人が副業をする場合は、副業の分も合わせて扶養の基準を超えないかを確認する必要があります。扶養には「税の扶養」と「社会保険の扶養」の2つがあり、基準が別々です。転職の応募書類や住宅ローンの審査など、扶養以外の場面での扱いは年収に副業は含むかを場面別に解説した記事で紹介しています。
税の扶養(配偶者控除)は、令和8年分から合計所得62万円以下(給与だけなら136万円以下)
国税庁によると、配偶者控除の対象になる配偶者の条件の1つは、年間の合計所得金額が62万円以下(給与のみの場合は給与収入136万円以下)であることです(国税庁 No.1191 配偶者控除)。この金額は令和8年12月1日に施行され、令和8年分から適用されます。令和7年分は58万円以下(給与のみなら123万円以下)でした。
副業で業務委託の所得がある場合は、給与所得と副業の所得を合計して判定します。62万円を超えても133万円以下なら、配偶者特別控除(最高38万円)の対象になります(国税庁 No.1195)。控除の額は段階的に減るため、扶養している側の税金がいきなり大きく増えるわけではありません。
※ここで示したのは所得税の基準です。住民税の控除の基準は別に定められています。
社会保険の扶養は年間収入130万円未満が目安。副業の収入も合わせて見込む
会社員の配偶者などが健康保険の被扶養者になる条件の1つは、年間収入130万円未満(60歳以上または障害者は180万円未満)で、同居なら扶養する人の収入の半分未満であることです(日本年金機構「従業員が家族を被扶養者にするとき」)。年間収入は過去の実績ではなく、これから1年間の見込み額で判断されます。
令和8年4月1日以降は、給与収入だけの人なら、労働条件通知書などの契約内容から見込まれる年間収入で判定できるようになりました。ただし、副業などで給与以外の収入が見込まれる場合は、この方法は使えません(日本年金機構「労働契約内容による年間収入での被扶養者の認定の取り扱いについて」)。業務委託の副業の収入をどう見込むかは、扶養している人が加入する健康保険(協会けんぽ・健康保険組合)に確認しましょう。
130万円以上になる見込みで扶養から外れると、自分で国民健康保険・国民年金に加入するか、勤務先で社会保険に加入することになり、保険料の負担が生じます。また、130万円未満でも、パート先で社会保険の加入条件(前述)を満たすと、勤務先の社会保険に加入して保険料を自分で負担します(厚生労働省「適用拡大 Q&A」)。
税の扶養と社会保険の扶養は別の制度。片方だけ見て判断しない
2つの扶養は、判定に使う金額の種類も時期も違います。税の扶養を外れなくても、社会保険の扶養から外れることがあります。
| 税の扶養(配偶者控除) | 社会保険の扶養 | |
|---|---|---|
| 基準の金額 | 合計所得62万円以下(給与のみなら収入136万円以下) | 年間収入130万円未満(60歳以上・障害者は180万円未満) |
| 判定に使う金額 | 所得(収入から経費や給与所得控除を引いた額) | 収入(見込み額) |
| 判定する期間 | 1月〜12月の1年間(12月31日の現況) | これから1年間の見込み |
| 外れたときの影響 | 扶養している人の所得税・住民税が増える | 自分で保険料を払う必要が出る |
※令和8年分(2026年10月時点)。引用:国税庁 No.1191、日本年金機構「従業員が家族を被扶養者にするとき」。19歳以上23歳未満の家族などは別の基準があります。
扶養や控除の仕組みを使って家族全体の手取りを増やす方法は、会社員の節税一覧でまとめています。
金額より先に確認したい労働時間の上限
収入を増やそうとして副業の時間を増やすと、金額より先に労働時間の上限にかかることがあります。とくに雇用型の副業では、本業と合わせた時間で考える必要があります。
アルバイトなど雇用型の副業は、本業と労働時間が通算される
労働基準法の法定労働時間は原則1日8時間・1週40時間(第32条)で、事業場が違っても労働時間は通算されます(第38条第1項)。そのため、本業と副業のアルバイトを合わせて法定労働時間を超えた部分は、時間外労働として扱われます。
前述のガイドラインでは、時間外労働と休日労働の合計を単月100時間未満、複数月平均80時間以内とする上限も、本業と副業の労働時間を通算して適用されると整理されています。副業先から本業の勤務時間を聞かれたり、副業で働ける時間に上限を設けられたりするのはこのためです。
業務委託の副業は通算されないが、本業に支障が出ない時間に抑える
業務委託やフリーランスとして働く時間は、労働基準法の労働時間の通算の対象外です。ただし、時間の上限がないぶん働きすぎになりやすく、本業でミスや遅刻が増えると、就業規則で副業を制限される理由になりえます。働く時間の決め方は会社員の副業の始め方で解説しています。
【まとめ】会社員の副業はいくらまでかより金額ごとの手続きを確認しよう
当記事では、会社員の副業がいくらまで稼いでよいかと、金額ごとに必要な手続きをご紹介しました。ポイントは次の通りです。
- 会社員の副業の収入に法律上の上限はない。制限があるとすれば勤務先の就業規則
- 業務委託などの所得が年20万円超、アルバイトの給与収入が年20万円超なら所得税の確定申告が必要
- 業務委託などの所得が20万円以下でも住民税の申告は必要(確定申告をしない場合)
- 業務委託の副業は本業の社会保険料に影響しない。雇用型で加入条件を満たすと二以上事業所勤務届を出す
- 扶養に入っている人は、税の扶養(合計所得62万円以下・令和8年分)と社会保険の扶養(年間収入130万円未満)を別々に確認する
- 雇用型の副業は本業と労働時間が通算される
副業の金額を気にする前に、まずは今年の副業の収入と経費を書き出し、20万円の基準を超えそうか、扶養に入っているなら基準に近づいていないかを確かめることから始めましょう。副業以外も含めた年収の上げ方は、年収を上げたい人がやるべき5つの方法も参考にしてみてください。
副業の収入は保証されるものではありません。会社員の方は勤務先の就業規則(副業規定)を確認してください。副業の所得が年間20万円を超える場合などは確定申告が必要になることがあります。本記事の情報は2026年10月時点のものです。

