「資格は持っていないけれど、年収の高い仕事に就きたい」と考える方は多いでしょう。厚生労働省の統計で推計年収を比べると、法律上の資格がなくても就ける仕事の上位は、管理職(約967万円)、システムコンサルタント・設計者(約889万円)、研究者(約802万円)、企画事務員(約737万円)です。こうした仕事では、資格の代わりに経験年数や役職、成果が年収を左右します。
当記事では、資格なしで就ける年収が高い仕事、資格の代わりに評価されるもの、目指し方を、厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」をもとに解説します。「資格不要で高収入」とうたう求人や講座の注意点も紹介します。
資格なしで年収が高い仕事ランキング|職種別の推計年収(令和7年)
当記事の「資格なし」は、その職種で働くこと自体に、法律で定められた免許や資格が求められていない仕事を指します。統計の職種ごとに、法令で資格が必須かどうかを確かめて並べました。
資格なしで就ける仕事の上位は管理職・ITコンサル・研究者・企画職
厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」の職種別データから推計年収を計算し、法律上の資格がなくても就ける職種を上から並べると次の12職種です。12職種とも、全職種平均の約546万円を上回っています。
| 職種 | 推計年収 | 働く人の数 | 法律上の資格 |
|---|---|---|---|
| 管理的職業従事者(部長・課長・支店長など) | 967万円 | 約176万人 | 不要 |
| システムコンサルタント・設計者 | 889万円 | 約17万人 | 不要 |
| 研究者 | 802万円 | 約18万人 | 不要 |
| 企画事務員(企画・マーケティングなど) | 737万円 | 約49万人 | 不要 |
| 輸送用機器技術者(自動車・航空機などの設計・製造技術) | 725万円 | 約19万人 | 不要 |
| 電気・電子・電気通信技術者 | 704万円 | 約33万人 | 不要 |
| 建築技術者 | 679万円 | 約37万人 | 不要(一定の建物の設計・工事監理は建築士) |
| 金融営業職業従事者(銀行・証券などの営業) | 674万円 | 約15万人 | 不要(証券の勧誘は外務員の登録) |
| 著述家,記者,編集者 | 673万円 | 約4万4千人 | 不要 |
| その他の営業職業従事者 | 661万円 | 約91万人 | 不要 |
| 機械技術者 | 659万円 | 約40万人 | 不要 |
| 機械器具・通信・システム営業職業従事者 | 659万円 | 約24万人 | 不要 |
※推計年収=きまって支給する現金給与額(月額)×12+年間賞与その他特別給与額。働く人の数は推計の労働者数(十人単位)を人に換算した概数。男女計・企業規模10人以上・民営事業所の一般労働者。電気・電子・電気通信技術者は通信ネットワーク技術者を除く、機械器具・通信・システム営業職業従事者は自動車を除く。法律上の資格は、職種として免許・資格が必須かどうかを編集部が法令で確かめたもので、求人によっては資格や学位を応募条件にしている場合がある。引用:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」職種(小分類)別の統計表(e-Stat・令和8年3月24日公表)をもとに編集部で計算
調査の「役職及び職種解説」では、システムコンサルタント・設計者にはシステムアナリストや情報処理プロジェクトマネージャ、企画事務員にはプランナーやマーケティング・リサーチャー、商品開発部員が含まれます。研究者は資格こそ不要ですが、求人によっては専門分野の学位や研究の実績を求められることがあります。資格が必要な職種も含めたランキング全体は、年収が高い仕事一覧で、女性に絞ったデータは年収が高い仕事【女性編】で紹介しています。
資格がないと就けないのは業務独占の仕事。名称だけを守る資格は必須ではない
資格には、資格がない人はその業務をしてはいけない「業務独占」の資格と、資格がなくても業務はできるものの、その名称を名乗れない「名称独占」の資格があります。たとえば電気工事士法第3条は、電気工事士の免状がない人は一般用電気工作物等の電気工事の作業に従事してはならないと定めています(軽微な作業などは除く)。一方、技術士法第57条が禁じているのは技術士でない人が「技術士」と名乗ることで、技術者として働くこと自体は資格がなくてもできます。
上の表では、業務独占の資格や免許が必要な次の職種を外しました。
- 医師・歯科医師・獣医師・法務従事者(弁護士・司法書士など)・公認会計士,税理士・航空機操縦士
- 小・中学校教員、高等学校教員(教育職員免許法第3条で免許状が必要)
- 鉄道運転従事者(動力車操縦者運転免許に関する省令第3条で運転免許が必要)
- 電気工事従事者(電気工事士法第3条)
- 大学教員(免許はないが、大学設置基準で教授・准教授などになれる人の資格が決まっている)
次の3職種も、資格の要否を職種単位で判断しにくいため外しました。「その他の経営・金融・保険専門職業従事者」(約1,135万円)と「販売類似職業従事者」(約665万円)は、経営コンサルタントや不動産仲介人のように資格がいらない仕事と、社会保険労務士や保険代理業務員のように資格や登録が要る仕事が混ざっています。「発電員,変電員」(約707万円)は、発電所などの設置者が電気主任技術者を選任する決まりがあります(電気事業法第43条)。
職種として資格不要でも、一部の業務には免許や登録が要る
職種としては資格がいらなくても、担当する業務によっては法律で免許や登録が求められることがあります。応募する前に、求人票の仕事内容と応募条件で確かめておくと安心です。
| 仕事 | 免許・登録が要る業務 | 根拠の法令 |
|---|---|---|
| 建築技術者 | 一定の規模・構造の建物を新築するときの設計・工事監理(建築士) | 建築士法第3条〜第3条の3 |
| 建築・電気などの施工管理 | 工事現場に置く主任技術者・監理技術者(法令で定める資格や実務経験が要件) | 建設業法第26条 |
| 金融営業(証券) | 有価証券の売買などの勧誘(会社が外務員として登録) | 金融商品取引法第64条 |
| 保険の営業 | 保険契約の締結の代理・媒介(登録を受けた募集人など) | 保険業法第275条 |
| 不動産の営業 | 契約前の重要事項の説明(宅地建物取引士) | 宅地建物取引業法第35条 |
| 車で回る営業など | 自動車の運転(運転免許) | 道路交通法第64条 |
※2026年10月18日時点。条文はe-Gov法令検索で確認。表は主な例で、すべての業務を網羅したものではありません
なお、不動産会社が事務所ごとに置く専任の宅地建物取引士は国土交通省令で定める数で(宅地建物取引業法第31条の3)、営業担当者の全員が資格を持つ必要はありません。
推計年収は「毎月の給与×12+年間の賞与」で計算した目安
賃金構造基本統計調査は月の給与と年間の賞与を別々に公表しており、「年収」そのものは出していません。当記事では、きまって支給する現金給与額(月額)×12か月+年間賞与その他特別給与額で推計し、1万円未満を四捨五入しています。
- 月給:令和7年6月分(残業代を含む、税金・社会保険料を引く前の額)
- 賞与:令和6年1月〜12月に支払われた額
- 対象:企業規模10人以上の民営事業所の一般労働者(短時間労働者・公務員を除く)
用語の定義は厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況」で確認できます。平均の値なので、同じ職種でも年齢・会社・地域によって実際の年収は大きく変わります。
資格の代わりに評価されるもの(経験・役職・実績・スキル)
資格が必須でない仕事で給与を左右するのは、統計で確かめられる経験年数と役職、統計にはない実績とスキルの4つです。
経験年数:資格不要の職種も、経験15年以上で月給が経験0年の1.2〜1.6倍になる
同じ調査で経験年数別の所定内給与額(残業代を含まない月給)を見ると、資格がいらない職種でも、経験を積むほど月給と賞与が上がっています。
| 職種 | 経験0年の月給 | 経験15年以上の月給 | 15年以上の年間賞与 |
|---|---|---|---|
| システムコンサルタント・設計者 | 40.5万円 | 61.5万円 | 385万円 |
| 金融営業職業従事者 | 30.1万円 | 48.0万円 | 240万円 |
| 著述家,記者,編集者 | 32.1万円 | 49.1万円 | 172万円 |
| 機械器具・通信・システム営業職業従事者 | 30.9万円 | 45.2万円 | 191万円 |
| 企画事務員 | 40.6万円 | 48.1万円 | 208万円 |
※月給は所定内給与額(月額)、賞与は年間賞与その他特別給与額。男女計・企業規模10人以上。経験年数は、いまの職種の仕事に就いてからの通算年数。引用:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」職種(小分類)別の統計表(e-Stat・令和8年3月24日公表)
金融営業職業従事者の月給は経験0年の30.1万円から15年以上で48.0万円と約1.6倍、年間賞与は約64万円から約240万円に増えています。資格の代わりに、同じ職種で積み上げた年数が給与に反映されやすいことが分かります。企画事務員は経験0年でも月40.6万円と高めで、伸び幅は約1.2倍と小さめでした。
役職:部長級の月給は役職のない人の約2倍
推計年収1位の管理的職業従事者は、資格ではなく社内での評価と昇進によって就くのが基本の仕事です。役職別の月給を見ると、部長級は役職のない人の約2倍でした。
| 役職 | 月給(所定内給与額) | 平均年齢 |
|---|---|---|
| 部長級 | 63.6万円 | 53.1歳 |
| 課長級 | 52.9万円 | 49.5歳 |
| 係長級 | 39.9万円 | 45.4歳 |
| 役職なし | 31.1万円 | 41.8歳 |
※雇用期間の定めのない一般労働者・男女計。月給は令和7年6月分の所定内給与額(残業代を含まない)。引用:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況」役職別にみた賃金
役職に就くには、今の会社で評価される実績を重ねることが基本です。評価の基準や昇給の時期を確かめ、成果を数字で伝えると、給与の話し合いを進めやすくなります。上司との話し合いの進め方は昇給交渉のやり方で解説しています。
実績:営業・企画では「何をどれだけ達成したか」を数字で示せるかが見られる
資格のない仕事の転職や昇進では、これまでの仕事でどんな成果を出したかが判断材料になります。営業職なら担当した顧客の数や売上、目標の達成率、企画職なら担当した商品や施策とその結果が、資格の代わりに力を示す材料になります。
数字は時期と自分の役割をセットで、たとえば「担当エリアの売上を前年より何%伸ばした」「チームの何人をまとめて新しい仕組みを導入した」のように規模と結果が分かる形で残しておくと伝わりやすくなります。
ITスキル・語学:資格は必須ではないが、試験の合格やスコアは客観的な証明になる
システムコンサルタントやIT職は資格がなくても働けますが、情報処理推進機構(IPA)が実施する情報処理技術者試験は国家試験で、合格はITの知識を客観的に示す材料になります。IPAは、ITパスポート試験を「全ての社会人」向けの試験に位置づけ、上位にはプロジェクトマネージャ試験やシステムアーキテクト試験などを設けています(IPA「試験区分一覧」)。
語学も同じで、海外との取引がある会社の営業・企画・技術職では、語学力を応募条件や評価の項目に入れている求人があります。語学試験のスコアは、求人が求める水準を確かめてから目指すと、学ぶ時間をむだにしにくくなります。
資格なしで年収が高い仕事を目指す3つの方法
資格に頼らず年収の高い仕事に近づく方法は、次の3つに整理できます。
方法1:今の会社で企画職や管理職に近づく。社内の異動と昇進で目指す
管理職は、社内での昇進によって就くのが基本の仕事です。企画事務員は経験0年でも年間賞与が平均約156万円あり、社内の異動で職種が変わった人が多く含まれている可能性があります。また、企画事務員として働く人の約54%は従業員1,000人以上の会社に勤めています。
今の会社に社内公募や希望の部署を伝える面談の制度があれば、企画や管理の仕事に近い業務を経験できるかを確かめてみてください。今の業務で改善の提案や後輩の指導を引き受けることも、管理職に求められる経験を積む機会になります。
方法2:同じ職種のまま規模の大きい会社へ移る。差が400万円を超える職種もある
資格のいらない仕事は、同じ職種でも勤め先の規模で推計年収が大きく変わります。管理的職業従事者は、従業員1,000人以上の会社で約1,182万円、10〜99人の会社で約724万円でした。
| 職種 | 1,000人以上 | 10〜99人 |
|---|---|---|
| 管理的職業従事者 | 1,182万円 | 724万円 |
| 著述家,記者,編集者 | 936万円 | 451万円 |
| 企画事務員 | 843万円 | 576万円 |
| 機械器具・通信・システム営業職業従事者 | 745万円 | 556万円 |
※推計年収の前提はランキングと同じ(企業規模別)。引用:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」職種(小分類)別の統計表(e-Stat・令和8年3月24日公表)をもとに編集部で計算
著述家,記者,編集者は差が約485万円あり、同じ職種でも会社の規模による違いが大きい仕事です。今の職種の経験を生かせる会社へ移ると、職種を変えるより年収が下がる心配を抑えやすくなります。転職の進め方は転職で年収アップする方法で、業界による年収の差は高年収の業界ランキングで紹介しています。
方法3:必須でない資格やスキルは、目指す職種の求人で評価されるか確かめてから学ぶ
資格がなくても就ける仕事でも、資格やスキルが評価や手当につながる場合があります。学び始める前に、目指す職種の求人で、その資格やスキルが応募条件や「歓迎」の欄に書かれているかを確かめると、時間と費用をかける価値があるか判断しやすくなります。
費用は、雇用保険の教育訓練給付金で抑えられる場合があります。一定の要件を満たす人が厚生労働大臣の指定する教育訓練を修了すると、費用の一部が支給される制度です。資格が必要な仕事の年収と、資格の選び方は年収が高い資格ランキングで比べられます。未経験の職種に入る場合の準備は、年収が高い仕事に未経験から就く方法で紹介しています。
資格なしで年収が高い仕事を選ぶときの注意点
統計の平均年収だけで仕事を選ぶと、入った後に思っていた年収や働き方と違うことがあります。3つの注意点を紹介します。
平均年収は経験の長い人を含む数字。管理職の平均は51.5歳・勤続22.6年
推計年収は、その職種で働く人全体の平均です。管理的職業従事者は平均年齢51.5歳、平均勤続年数22.6年で、長く勤めて昇進した人が中心です。資格がいらない仕事でも、転職してすぐに平均の年収に届くとは限りません。
求人の提示年収と比べるときは、表の推計年収ではなく、自分の経験年数に近い水準と比べるのが現実的です。前述の経験年数別の表も参考にしてください。
残業が長めの職種もある。輸送用機器技術者は月20時間で全体の約1.8倍
年収が高い仕事の中には、残業時間が全職種平均より長い職種があります。超過実労働時間(残業などの時間)は、全職種平均の月11時間に対し、輸送用機器技術者が月20時間、金融営業職業従事者が月18時間、建築技術者が月17時間でした(令和7年6月分)。
推計年収には残業代も含まれるため、年収の一部は長い労働時間によるものと考えられます。応募する前に、求人票で固定残業代の有無と時間数、休日の数を確かめておくと、入った後の働き方を想像しやすくなります。
「資格不要で高収入」とうたう求人や講座の勧誘に注意する
仕事内容や給与の内訳が分からないまま「資格不要で高収入」とうたう求人には注意が必要です。職業安定法第5条の3は、労働者の募集を行う者に、業務の内容や賃金、労働時間などの労働条件を明示する義務を定めています。第5条の4では、募集の広告で虚偽の表示や誤解を生じさせる表示をすることを禁じています(e-Gov法令検索「職業安定法」)。応募する前に、仕事内容・給与の内訳・雇用形態が具体的に書かれているかを確かめてください。
国民生活センターは、AI講座やSNS運用講座などのビジネス講座に関する相談が増加傾向にあるとして注意を呼びかけています。相談件数は2025年度に3,551件で、相談事例には「副業の採用面接に応募したところ65万円のビジネス講座の契約になっていた」というケースもありました(国民生活センター「ビジネス講座のトラブルにご注意」・2026年9月16日公表)。
- その場で契約せず、講座の内容と総支払額、解約条件、返金の可否を確かめる
- 借金やクレジットの分割払いをしてまで費用を払わない
- 困ったときは消費者ホットライン「188」で最寄りの消費生活センターに相談する
【まとめ】資格なしで年収が高い仕事は経験と役職で年収が伸びる職種から選ぼう
資格なしで就ける年収が高い仕事のポイントは次の通りです。
- 法律上の資格がなくても就ける仕事の上位は、管理職・システムコンサルタント・研究者・企画事務員
- 職種として資格不要でも、建物の設計や証券の勧誘、不動産の重要事項説明などには免許や登録が要る
- 資格の代わりに、経験年数・役職・数字で示せる実績・ITや語学のスキルが評価される
- 目指し方は、社内の異動と昇進、同じ職種で規模の大きい会社への転職、求人で評価される資格やスキルの習得
- 平均年収はベテランを含む数字で、残業の長い職種もある。「資格不要で高収入」の勧誘には注意する
まずはランキングの中から今の仕事に近い職種を1つ選び、その職種の求人で「歓迎する経験・実績」と提示年収を確かめることから始めるのがおすすめです。求められる経験が分かれば、今の会社で経験を積むのか、転職するのかを決めやすくなります。年収を上げる方法の全体像は、年収を上げたい人がやるべきことで紹介しています。
本記事は一般的な情報の提供を目的としており、収入の増加や特定の結果を保証するものではありません。税金・社会保険・制度の内容は改正されることがあるため、最新情報は公的機関の公式サイトでご確認ください。本記事の情報は2026年10月時点のものです。

