「高卒だと年収が高い仕事には就けないのでは」と気になっている方もいるでしょう。厚生労働省の統計では、高校卒の人が多く働く職種の中にも、鉄道運転・発電所や変電所の運転・電気工事のように推計年収が600万〜700万円台の仕事があります。学歴別の平均には差がありますが、職種・業界・会社の規模で年収は大きく変わります。
当記事では、高卒で年収が高い仕事、学歴別の賃金差の実態、高卒から年収を上げる4つの道(資格・業界・転職・社内昇進)を、厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」をもとに解説します。
高卒で年収が高い仕事ランキング|職種別の推計年収(令和7年)
まずは高校卒の人が多く働く職種の推計年収を見ていきます。あわせて、高校卒だけを集計した職種グループ別の年収も紹介します。
高卒が多く働く職種の上位は鉄道運転・発電員・電気工事などの技能職
厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」で、働く人の半数以上(約54〜65%)を高校卒が占める「生産工程」「輸送・機械運転」「建設・採掘」「運搬・清掃・包装等」の4つの職種グループから、推計年収が高い仕事を並べました。上位の鉄道運転従事者(約719万円)と発電員,変電員(約707万円)は、全職種の平均(約546万円)を150万円以上上回ります。表の金額は高校卒だけの年収ではなく、大学卒なども含めた全学歴の平均です。
| 職種 | 推計年収(全学歴) | 月の残業時間 | 働く人の数 |
|---|---|---|---|
| 鉄道運転従事者 | 719万円 | 19時間 | 約3万4千人 |
| 発電員,変電員 | 707万円 | 19時間 | 約2万1千人 |
| 電気工事従事者 | 628万円 | 17時間 | 約22万人 |
| 船内・沿岸荷役従事者 | 601万円 | 31時間 | 約3万2千人 |
| その他の機械整備・修理従事者 | 598万円 | 13時間 | 約5万1千人 |
| 自動車組立従事者 | 592万円 | 19時間 | 約30万8千人 |
| 製銑・製鋼・非鉄金属製錬従事者 | 588万円 | 20時間 | 約13万7千人 |
| クレーン・ウインチ運転従事者 | 587万円 | 19時間 | 約1万6千人 |
| 車掌 | 583万円 | 14時間 | 約2万2千人 |
| 機械器具の整備・修理従事者 | 571万円 | 18時間 | 約13万5千人 |
※推計年収=きまって支給する現金給与額(令和7年6月分の月額)×12+年間賞与その他特別給与額(令和6年1〜12月)。1万円未満は四捨五入。企業規模10人以上・民営事業所の一般労働者。月の残業時間は超過実労働時間数(令和7年6月)。「機械器具の整備・修理従事者」の正式名は「はん用・生産用・業務用機械器具・電気機械器具整備・修理従事者」。航空機操縦士(約1,632万円)は専門の訓練と国の資格が必要なため除いた。引用:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」職種別の統計表(e-Stat・令和8年3月24日公表)をもとに編集部で計算
統計では職種を細かく分けた表に学歴別の数字がないため、高校卒が多い職種グループの中から選んでいます。高校卒だけの年収は、次の職種グループ別の表で確認できます。また、残業代も「きまって支給する現金給与額」に含まれるため、残業時間が全職種平均(11時間)より長い仕事は、そのぶん推計年収が高めに出ています。
高校卒だけで比べると管理職・専門職・建設の仕事の年収が高い
高校卒の人だけを集計した数字は、職種の大きなグループ単位で公表されています。高校卒の推計年収は、管理的職業従事者(部長・課長など)が約788万円で最も高く、専門的・技術的職業従事者が約580万円、建設・採掘従事者が約505万円と続きます。
| 職種グループ | 高校卒の推計年収 | 高校卒の割合 |
|---|---|---|
| 管理的職業従事者 | 788万円 | 21.3% |
| 専門的・技術的職業従事者 | 580万円 | 11.7% |
| 建設・採掘従事者 | 505万円 | 58.3% |
| 輸送・機械運転従事者 | 478万円 | 64.6% |
| 事務従事者 | 474万円 | 24.8% |
| 生産工程従事者 | 474万円 | 60.1% |
| 販売従事者 | 440万円 | 25.0% |
| 運搬・清掃・包装等従事者 | 384万円 | 54.0% |
| 保安職業従事者 | 366万円 | 51.5% |
| サービス職業従事者 | 360万円 | 40.0% |
| 農林漁業従事者 | 347万円 | 59.8% |
※推計年収の計算方法・対象は最初の表と同じ(企業規模10人以上・民営事業所の一般労働者)。男女計。割合は各グループの労働者数(学歴計)に占める高校卒の労働者数。引用:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」職種別の統計表のうち第8表(職種(大分類)、性、学歴、年齢階級別)(e-Stat・令和8年3月24日公表)をもとに編集部で計算
専門的・技術的職業従事者には看護師や技術者などが含まれ、高校卒の割合は1割ほどです。働く人の6割前後が高校卒の「建設・採掘」「輸送・機械運転」「生産工程」は、推計年収が470万〜510万円ほどで、高校卒全体の平均(約474万円)と同じか少し上の水準です。女性の場合の職種の選び方は年収が高い仕事【女性編】で紹介しています。
推計年収は「毎月の給与×12+年間の賞与」で計算した目安
賃金構造基本統計調査は「年収」の数字そのものを公表していないため、当記事では、きまって支給する現金給与額(月額)×12か月+年間賞与その他特別給与額で推計しています。
- きまって支給する現金給与額:令和7年6月分の月給。基本給・手当に加えて残業代を含み、税金・社会保険料を引く前の額
- 年間賞与その他特別給与額:前年(令和6年1月〜12月)1年間に支払われた賞与・期末手当など
- 対象:企業規模10人以上の民営事業所で働く一般労働者(短時間労働者を除く)。公務員は含まない
働く人が少ない職種(クレーン・ウインチ運転従事者は推計約1万6千人)は、年によって数字が動きやすい点にも注意が必要です。調査の定義は厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況」で確認できます。学歴を問わない職種別のランキング全体は、年収が高い仕事一覧にまとめています。
高卒と大卒の年収の差(学歴別の賃金)
同じ調査の学歴別の数字で、高卒と大卒の年収の差を確かめます。差の大きさは年齢と職種で大きく変わります。
高校卒の推計年収は約474万円、大学卒は約648万円
全産業・男女計で見ると、高校卒の推計年収は約474万円、大学卒は約648万円で、差は約174万円です。毎月の所定内給与額(残業代を含まない月給)では、高校卒が29.72万円、大学卒が39.63万円でした。
| 最終学歴 | 所定内給与額(月額) | 推計年収 |
|---|---|---|
| 高校 | 29.72万円 | 474万円 |
| 専門学校 | 31.37万円 | 490万円 |
| 高専・短大 | 32.12万円 | 515万円 |
| 大学 | 39.63万円 | 648万円 |
| 大学院 | 51.74万円 | 876万円 |
| 学歴計(全体) | 34.06万円 | 546万円 |
※推計年収の計算方法・対象は最初の表と同じ(企業規模10人以上・民営事業所の一般労働者)。産業計・男女計。所定内給与額は残業代などを除いた月額(令和7年6月分)。引用:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」産業大分類 第1表(学歴、年齢階級別)(e-Stat・令和8年3月24日公表)をもとに編集部で計算/所定内給与額は結果の概況「学歴別にみた賃金」(第3表)でも公表
男女別では、高校卒の男性が約526万円、女性が約364万円です。大学卒は男性が約710万円、女性が約519万円で、男女ともに学歴による差があります。ただし、高校卒の平均年齢は46.8歳、大学卒は41.8歳と年齢構成も違うため、次の年齢別の数字もあわせて見てください。
差は年齢とともに広がり、50代前半では約280万円になる
年齢別に比べると、20代前半の差は約25万円ですが、50代前半では約284万円まで広がります。高校卒は早く働き始めるぶん同じ年齢での勤続年数が長く、20代前半の差は小さめです。一方で、大学卒は30代以降に月給と賞与が大きく伸びる傾向があります。
| 年齢 | 高校卒 | 大学卒 | 差 |
|---|---|---|---|
| 20〜24歳 | 359万円 | 384万円 | 25万円 |
| 25〜29歳 | 403万円 | 485万円 | 82万円 |
| 30〜34歳 | 446万円 | 564万円 | 118万円 |
| 35〜39歳 | 486万円 | 634万円 | 148万円 |
| 40〜44歳 | 501万円 | 707万円 | 206万円 |
| 45〜49歳 | 525万円 | 755万円 | 230万円 |
| 50〜54歳 | 545万円 | 829万円 | 284万円 |
| 55〜59歳 | 532万円 | 880万円 | 348万円 |
※推計年収の計算方法・対象は最初の表と同じ(企業規模10人以上・民営事業所の一般労働者)。産業計・男女計。引用:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」産業大分類 第1表(学歴、年齢階級別)(e-Stat・令和8年3月24日公表)をもとに編集部で計算
この差は「学歴だけで決まる差」ではなく、どんな職種・会社で働いているかの違いも含んだ数字です。大学卒の平均は、大企業や管理職で働く人の高い給与に引き上げられている面もあると考えられます。
学歴による差は事務・販売・管理職で大きく、技能職などでは小さい
職種グループごとに比べると、生産工程従事者では差が約36万円、輸送・機械運転従事者では約46万円にとどまる一方、販売従事者では約193万円、管理的職業従事者では約255万円の差があります。
| 職種グループ | 高校卒 | 大学卒 | 差 |
|---|---|---|---|
| 生産工程従事者 | 474万円 | 510万円 | 36万円 |
| 輸送・機械運転従事者 | 478万円 | 524万円 | 46万円 |
| 建設・採掘従事者 | 505万円 | 578万円 | 73万円 |
| 事務従事者 | 474万円 | 607万円 | 133万円 |
| 販売従事者 | 440万円 | 633万円 | 193万円 |
| 管理的職業従事者 | 788万円 | 1,043万円 | 255万円 |
※推計年収の計算方法・対象は最初の表と同じ(企業規模10人以上・民営事業所の一般労働者)。男女計。引用:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」職種別の統計表のうち第8表(e-Stat・令和8年3月24日公表)をもとに編集部で計算
表にないグループも、運搬・清掃・包装等(約46万円)、保安(約49万円)、サービス(約67万円)、専門的・技術的(約71万円)、農林漁業(約74万円)と差は80万円未満です。差が100万円を超えるのは事務・販売・管理職の3つだけで、大企業の総合職などが大学卒の平均を引き上げやすいグループとみられます。現場の技能職は資格や経験の年数が評価の中心になりやすく、学歴の差を受けにくい職種を選ぶなら1つの候補になります。
高卒で年収800万円は平均では届きにくいが、管理職や大企業では近づく
高校卒の推計年収は50代前半の約545万円が最も高く、平均で800万円に届く年齢層はありません。ただし条件を絞ると、高校卒の管理的職業従事者は約788万円(男性は約805万円)で、800万円前後の水準です。
会社の規模でも差があります。従業員1,000人以上の企業で働く高校卒の男性は、50〜54歳で約760万円でした。年収800万円を目指すなら、大きな会社で長く勤めて役職に就く道や、給与水準の高い業界に移る道が現実的な候補になります。
※推計年収の前提は上の表と同じ。引用:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」職種別の統計表(第8表)、厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」産業大分類 第1表(学歴、年齢階級別)(e-Stat・令和8年3月24日公表)をもとに編集部で計算
高卒から年収を上げる4つの道
ここまでの数字のとおり、高校卒の年収は「職種」「業界」「会社の規模」「役職」で大きく変わります。それぞれに対応する4つの道を紹介します。
道1:資格で担当できる仕事を増やす。第二種電気工事士は受験資格がいらない
1つ目の道は、資格を取って、担当できる仕事と評価される範囲を広げることです。たとえば電気工事従事者(推計年収約628万円)の多くの作業は、国家資格の電気工事士でなければ行えません。
電気工事士の試験を実施する電気技術者試験センターは、第二種を含む電気工事士の試験について「受験資格に実務経験は不要で、誰でも受験可能」としています(電気技術者試験センター「資格概要」・2026年10月18日確認)。第一種電気工事士は、試験の合格後に一定期間の実務経験を積むと免状を取得でき、扱える工事の範囲が広がります。
クレーンの運転(つり上げ荷重などに応じて免許・技能講習・特別教育が必要)や大型トラックの運転(大型免許が必要)のように、免許や講習の修了が必要な仕事もあります。資格は取るまでの期間と費用、取ったあとに年収が上がる仕組み(資格手当・担当業務)を先に確かめると、遠回りを避けられます。年収と結びつきやすい資格は年収が高い資格ランキングで、学ぶ費用の一部が戻る教育訓練給付金(厚生労働省)などの制度はリスキリング補助金の記事で解説しています。
道2:給与水準の高い業界・会社を選ぶ。高卒でも業界で300万円以上の差がある
2つ目の道は、同じ高校卒でも年収が高い業界と、規模の大きい会社を選ぶことです。高校卒の推計年収を業界別に見ると、電気・ガス・熱供給・水道業は約739万円、医療・福祉は約370万円で、369万円の差があります。
| 業界(産業大分類) | 高校卒の推計年収 |
|---|---|
| 電気・ガス・熱供給・水道業 | 739万円 |
| 情報通信業 | 628万円 |
| 学術研究,専門・技術サービス業 | 589万円 |
| 建設業 | 533万円 |
| 製造業 | 505万円 |
| 宿泊業,飲食サービス業 | 372万円 |
| 医療,福祉 | 370万円 |
※推計年収の計算方法・対象は最初の表と同じ(企業規模10人以上・民営事業所の一般労働者)。男女計。主な業界を抜粋。引用:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」産業大分類 第1表(学歴、年齢階級別)(e-Stat・令和8年3月24日公表)をもとに編集部で計算
会社の規模でも、高校卒の推計年収は従業員1,000人以上で約565万円、100〜999人で約461万円、10〜99人で約421万円と差があります。仕事内容が同じでも、業界と会社によって年収の水準が変わる可能性があります。業界ごとの平均年収と差がつく理由は高年収の業界ランキングで詳しく紹介しています。
道3:経験を活かせる職種に転職する。求人の月給・賞与・残業代を確かめて動く
3つ目の道は、いまの経験を活かせる職種のまま、給与水準の高い業界・会社に転職することです。前述の通り、技能職のグループは学歴による差が小さい職種です。製造の経験がある方なら、同じ製造の仕事で規模の大きい会社や給与水準の高い業界に移るのが、年収を上げやすい動き方の1つです。
求人を比べるときは、月給だけでなく、賞与の実績(何か月分か)、残業代の扱い、夜勤や交替勤務の手当まで確かめておくと安心です。残業代は年収に含まれるため、基本給が同じでも残業が少ない職場に移ると年収が下がることがあります。
未経験の職種に移る場合の入り方は年収が高い仕事に未経験から就く方法で、転職で年収を上げる進め方は転職で年収アップする方法で解説しています。
道4:今の会社で役職に就く。高校卒の管理職は約788万円
4つ目の道は、今の会社で経験を積み、主任・係長・課長などの役職に就くことです。高校卒全体の推計年収は約474万円ですが、高校卒の管理的職業従事者は約788万円で、300万円以上高い水準です。
高校卒の管理的職業従事者は、平均年齢53.4歳・平均勤続年数25.3年で、長く勤めて役職に就いた人が中心と考えられます。今の会社で昇進の道があるなら、評価の基準と昇格の条件を上司や人事に確かめ、資格の取得や担当業務の広げ方を計画すると進めやすくなります。
評価を給与に反映してもらう話し方は、昇給交渉のやり方で例文つきで紹介しています。
注意点:「学歴不問で高収入」とうたう高額な講座の勧誘に気をつける
年収を上げたい気持ちにつけこむ勧誘もあります。中身や解約条件が分からない高額な講座・教材は、その場で契約しないことが大切です。国民生活センターは、AI講座やSNS運用講座などのビジネス講座に関する相談が増加傾向にあるとして、注意を呼びかけています(国民生活センター「ビジネス講座のトラブルにご注意」・令和8年9月16日公表)。
契約前に総支払額・解約条件・返金の可否を確かめ、困ったときは消費者ホットライン「188」で相談できます。借金をしてまで講座の費用を払うことは避けてください。
【まとめ】高卒で年収が高い仕事は職種・業界・会社の規模で選ぼう
厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」をもとにした、当記事のポイントは次の通りです。
- 高校卒が多く働く職種では、鉄道運転従事者(約719万円)、発電員,変電員(約707万円)、電気工事従事者(約628万円)などの推計年収が高い
- 高校卒の推計年収は約474万円、大学卒は約648万円。差は年齢とともに広がり、50代前半で約284万円
- 学歴による差は生産工程・輸送・建設などで36万〜73万円と小さく、100万円を超えるのは事務・販売・管理職
- 高校卒でも業界で300万円以上、会社の規模で140万円ほどの差があり、管理職では約788万円
- 年収を上げる道は、資格・業界と会社選び・経験を活かした転職・社内昇進の4つ
まずは当記事の表で、自分の職種グループと業界の高校卒の水準を確かめ、今の年収と比べることから始めてみてください。差が大きければ業界や会社を変える転職を、差が小さければ資格と社内での役職を軸に考えると、次の一手を選びやすくなります。年収を上げる方法の全体像は年収を上げたい人がやるべきことで紹介しています。
本記事は一般的な情報の提供を目的としており、収入の増加や特定の結果を保証するものではありません。税金・社会保険・制度の内容は改正されることがあるため、最新情報は公的機関の公式サイトでご確認ください。本記事の情報は2026年10月時点のものです。

