家族の節約は、1人が頑張るより、家計の全体を家族で共有し、人数が増えると膨らむ費目と、家族全員分の契約がまとまっている固定費から見直すと進めやすくなります。子どもの食事や学びを削るのではなく、使い道の優先順位を家族で決めることが続けるコツです。
当記事では、世帯人数別の支出の平均、家族で取り組む進め方、費目別の見直し方、確かめておきたい公的制度を、総務省「家計調査」やこども家庭庁などの公的な情報をもとに解説します。あわせて、家族の節約でやりすぎないための注意点も整理します。
家族の節約方法を考える前に確かめたい世帯人数別の支出
家族の節約は、「うちの支出は多いのか」を知るところから始まります。公的統計の世帯人数別の平均と比べ、目を向けたい費目を整理します。
二人以上の勤労者世帯の消費支出は月34万6,297円。4人世帯では月37万2,589円
総務省「家計調査(家計収支編)2025年」によると、二人以上の世帯のうち勤労者世帯の消費支出は月34万6,297円です。世帯人数別にみると、2人世帯が月31万7,202円、3人世帯が月34万1,655円、4人世帯が月37万2,589円で、人数が増えるほど支出も大きくなります。
| 費目(月平均) | 2人世帯 | 3人世帯 | 4人世帯 |
|---|---|---|---|
| 消費支出 | 317,202円 | 341,655円 | 372,589円 |
| 食料 | 81,537円 | 90,789円 | 103,320円 |
| (うち外食) | 15,688円 | 17,766円 | 21,843円 |
| 住居 | 24,427円 | 20,334円 | 18,044円 |
| 光熱・水道 | 21,715円 | 24,484円 | 25,270円 |
| 通信 | 11,325円 | 13,179円 | 13,662円 |
| 自動車等関係費 | 37,866円 | 37,201円 | 35,900円 |
| 教育 | 995円 | 13,995円 | 34,929円 |
※二人以上の世帯のうち勤労者世帯(世帯主が会社・官公庁・商店などに勤めている世帯)の2025年平均の1か月あたり。住居は持ち家の世帯を含む平均。世帯主の平均年齢は2人世帯57.3歳、3人世帯51.1歳、4人世帯46.2歳で、18歳未満の人数の平均は3人世帯0.54人、4人世帯1.44人(子どもの有無を問わない平均)。無職の世帯なども含めた二人以上の世帯全体の消費支出は月31万4,001円。2026年2月6日公表。引用:総務省「家計調査 家計収支編 2025年 第3-1表(世帯人員別)」、同「第1-1表」
人数が増えると食費と教育費が大きく増え、住居費はむしろ小さくなる
表を2人世帯と4人世帯で比べると、食料は月約2.2万円、教育は月約3.4万円多くなっています。一方で、住居は4人世帯のほうが少なく、自動車等関係費や通信はあまり変わりません。持ち家の割合や世帯主の年齢が違うため単純には比べられませんが、家族の支出は「人数で増える費目」と「人数にあまり左右されない費目」に分けると整理できます。
なお、5人世帯の消費支出は月37万474円で、4人世帯とほぼ同じです。人数が増えるほど支出が同じ割合で増え続けるわけではありません。
家族の支出は「人数で増える費目」と「世帯でまとめて払う固定費」に分ける
自分の家計を見直すときは、通帳とクレジットカードの明細を1〜2か月分用意し、食費・日用品・被服・教育費のように人数で増える費目と、通信・保険・車・住居のように世帯でまとめて払う固定費に分けてみてください。固定費は一度の見直しで効果が毎月続き、人数で増える費目は家族の習慣で少しずつ変えていく、という役割分担になります。固定費の洗い出し方は固定費削減の見直しリストで項目ごとにまとめています。
家族で節約に取り組む進め方(4ステップ)
家族の節約がうまくいかない原因の多くは、方法よりも「誰が、何を、どこまでやるか」が決まっていないことです。次の4ステップで進めると、1人に負担が偏りにくくなります。
手順1:家計の全体を大人同士で共有する。収入・固定費・貯金の3つから
共働きで財布を分けている家庭や、片方が家計を任されている家庭では、もう一方が家計の全体を知らないことがよくあります。まずは世帯の手取り収入、毎月の固定費、貯金の額の3つを大人同士で共有することから始めます。細かい家計簿は不要で、1枚の表やメモで十分です。ひとり親家庭なら、自分で1枚にまとめるだけでも全体が見えてきます。
話し合いの場では、相手の使い方を責めるより、「この先にかかるお金をどう準備するか」という共通の話題から入ると進めやすくなります。
手順2:「何のために、月いくら」を家族で決めると続きやすい
目的のない節約は、我慢だけが残って長続きしません。「子どもの進学に備えて月2万円」「家族旅行のために月1万円」のように、目的と金額をセットで決めると、家族全員が納得しやすくなります。目標額は、いきなり大きくせず、固定費の見直しで無理なく出せる額から始めるのが現実的です。
手順3:費目ごとに担当を決め、確かめる日を月1回にそろえる
たとえば食費と日用品は普段買い物をする人、通信・保険・車は契約の名義人というように、費目ごとに担当を決める方法があります。そのうえで、給料日の後など月1回だけ一緒に明細を確かめる日を決めておくと、話し合いが習慣になります。
手順4:子どもには「我慢」ではなく「選ぶ練習」として伝える
子どもに節約を伝えるときは、「お金がないから我慢して」と言うより、「使えるお金には限りがあるから、何に使うかを一緒に選ぼう」と伝えるほうが前向きに受け止めてもらいやすくなります。電気を消す、食べ残しを減らすといった身近なことを家族の目標にしたり、小学生以上ならおこづかいの範囲で欲しいものを選ばせたりするのも一つの方法です。家計が苦しいことを子どもに詳しく話しすぎて、不安にさせないよう配慮も必要です。
家族の節約方法:食費・光熱費・通信費は使い方と契約で減らす
毎月出ていく食費・光熱費・通信費は、家族の人数の影響を受けやすい費目です。
食費は外食と「ついで買い」の回数を家族で決める。3人世帯の食費は月9万789円、4人世帯は月10万3,320円
家計調査(2025年)の食料は、3人世帯が月9万789円、4人世帯が月10万3,320円、5人世帯が月11万1,495円です。この「食料」には外食(4人世帯で月2万1,843円)のほか、飲み物・お酒・お菓子も含まれるため、自宅の食材費だけの金額と比べると高めに見えます。食費を減らすときは、1回ごとの金額を細かく削るより、外食やコンビニでの「ついで買い」の回数を家族で決めるほうが効果を実感できます。週末の献立を家族で決めてからまとめて買い物に行く、子どもと一緒に作れる料理を増やすといった工夫は、食費を抑えながら食事の時間を楽しむことにもつながります。
たとえば、家族4人で1回6,000円かかる外食を月2回、自宅での食事(材料費2,000円)に置き換えると、差額は1回4,000円で月8,000円、年間では9万6,000円になります。
※編集部の試算。外食1回6,000円・自宅での食事の材料費2,000円は説明のための仮の金額で、統計の値ではありません。光熱費や調理の手間は含みません。
光熱費は家族がそろう時間帯の使い方を見直す。1部屋に集まるだけでも変わる
光熱費は人数が増えるほど高くなり、4人世帯では月2万5,270円です。家族の場合は、夕方から夜の家族がそろう時間帯に、エアコンや照明を使う部屋をなるべくまとめるのが取り組みやすい方法です。お風呂は家族が間隔をあけずに続けて入ると、追い焚きの回数を減らせます。エアコンの設定温度など、使い方ごとの省エネ効果の目安は節約方法の進め方で紹介しています。
通信費は家族全員の回線を一覧にし、使う量に合ったプランか確かめる
家族の通信費は、スマートフォンの台数が増えるとまとまった金額になります。家族全員の回線について、毎月のデータ使用量・料金・契約の名義・割引の条件を一覧にすると、使う量に比べて大きすぎるプランや、使っていないオプションが見つかることがあります。家族割やセット割は、1回線を変えると他の回線の割引が外れる場合があるため、変更する前に全員分の料金で比べてください。
保険・教育費・車は家族の将来に合わせて見直す
保険・教育費・車は、金額が大きく、家族の暮らしや将来にも関わる費目です。削るかどうかだけでなく、家族の状況に合っているかという視点で見直します。
保険は家族構成が変わったときに、必要な保障を外さずに重なりを見直す
結婚、出産、住宅の購入、子どもの独立など、家族構成が変わると必要な保障も変わります。見直すときは、必要な保障を外さないことを前提に、内容が重なっている契約や、今の家族に合わない契約がないかを確かめることが大切です。公的な保障として、医療費の自己負担に上限がある高額療養費制度や、遺族年金などがあります。公的な保障で足りない部分を民間の保険で備えると考えると、保険料が膨らみすぎるのを防げます。当記事では特定の保険商品はおすすめしません。迷ったときは、家族の状況を伝えて相談窓口で確かめてください。
教育費は削る前に優先順位をつける。習い事や塾は目的と期間を決める
教育費は、子どもの年齢が上がるほど大きくなります。家計調査でも、4人世帯の教育費は月3万4,929円で、そのうち塾などの補習教育が月8,309円です。教育費は子どもの将来に関わるため、一律に削るのではなく、習い事や塾ごとに「何のために、いつまで続けるか」を家族で確かめることが大切です。子どもが続けたいと思っているもの、本人の力になっているものは残し、惰性で続いているものや目的が重なっているものから見直すと、子どもに無理をさせずに済みます。高校や大学の費用のように時期が分かっている支出は、早めに積み立てておくと家計が急に苦しくなるのを防げます。
車は維持費を年額で出し、台数と使い方が家族に合っているか確かめる
自動車等関係費は世帯人数にかかわらず月3万〜4万円ほどで、家計の中でも大きな費目です。車の見直しでは、ガソリン代・駐車場代・自動車保険・税金・車検などの維持費を年額で合計し、家族の使い方に見合っているかを確かめるところから始めます。2台目を持っている家庭では、本当に2台が必要かを、通勤や送迎の予定と合わせて考えてみてください。地域によっては車が生活に欠かせないため、手放すことだけが答えではありません。
家族で確かめたい公的制度(児童手当・医療費助成など)
子育て中の家庭には、国や自治体の制度があります。申請しないと受け取れないものもあるため、対象になるかを一度確かめておきましょう。
児童手当は高校生年代まで。3歳未満は月1万5,000円、3歳以上は月1万円(2026年10月時点)
こども家庭庁によると、児童手当は0歳から高校生年代(18歳になった後の最初の3月31日まで)の子どもを育てている方が対象です。1人あたりの月額は、3歳未満が1万5,000円、3歳以上高校生年代までが1万円、第3子以降は3万円で、偶数月に2か月分ずつ支給されます。2024年10月分からの制度改正で、所得制限がなくなり、対象が高校生年代まで広がりました。子どもが生まれたときや引っ越したときは、原則として翌日から15日以内に住んでいる市区町村への申請が必要です(公務員は勤務先)。
※2026年10月時点。「第3子以降」の数え方には22歳年度末までの兄姉が含まれる場合があります。詳しくはこども家庭庁「児童手当制度のご案内」と、お住まいの市区町村の窓口でご確認ください。
子どもの医療費助成は全市区町村が実施。対象年齢と自己負担は自治体ごとに違う
こども家庭庁の調査(2025年4月1日時点)では、全ての都道府県と市区町村が、子どもの医療費の助成を実施しています。市区町村では、通院・入院ともに18歳年度末(高校生まで)を対象とするところが最も多くなっています。ただし、対象年齢や窓口での自己負担、所得制限の有無は自治体によって異なります。引っ越しのときは、転入先の制度を市区町村のホームページなどで確かめておくと安心です。
引用:こども家庭庁「令和7年度 こどもに係る医療費の助成についての調査」
保育・高校の授業料・給食費の支援は、申請が必要かどうかを確かめる
教育や保育に関わる主な支援には、次のようなものがあります。制度によって申請が必要なものと不要なものがあるため、学校や市区町村からの案内を見落とさないことが大切です。
| 制度 | 主な内容(2026年10月時点) | 確認先 |
|---|---|---|
| 幼児教育・保育の無償化 | 幼稚園・保育所・認定こども園などを利用する3〜5歳児クラスの利用料が無料。0〜2歳児クラスは住民税非課税世帯が対象 | こども家庭庁・市区町村 |
| 高等学校等就学支援金 | 高校の授業料を支援する制度。2026年4月施行の改正で所得制限が撤廃された(国籍・在留資格などにより新制度の対象外となる生徒もいる)。申請が必要 | 文部科学省・学校 |
| 学校給食費の負担軽減 | 2026年4月から、公立小学校(特別支援学校小学部などを含む)の給食の食材費を国が自治体を通じて支援。保護者の手続きは原則不要。自治体によっては負担が残る | 文部科学省・市町村 |
| 就学援助 | 経済的な理由で就学が難しい小中学生の保護者に、学用品費や給食費などを市町村が援助。認定基準は市町村ごとに違う | 市町村の教育委員会・学校 |
※幼児教育・保育の無償化には、認可外保育施設などで上限額や「保育の必要性の認定」の条件があります。引用:こども家庭庁「幼児教育・保育の無償化」、文部科学省「高校生等への修学支援」、同「学校給食費の抜本的な負担軽減」、同「就学援助制度について」
16歳以上の子どもを扶養している場合は、子どもの所得が一定以下などの要件を満たせば、所得税・住民税の扶養控除の対象になるなど、税金の面で使える仕組みもあります。会社員が使える控除の全体像は会社員の節税一覧で確かめられます。
家族の節約方法でやりすぎないための注意点
家族の節約は、1人暮らしの節約と違い、家族の健康や気持ちにも影響します。次の3つは、節約の効果よりも優先して守りたいポイントです。
子どもの食事・健康・学びの機会まで削らない
食費を減らそうとして食事の量や栄養が偏ったり、暑さ寒さを我慢して体調を崩したりしては本末転倒です。子どもの食事・健康・学びの機会は、節約の対象から外しておくと決めておくと、判断に迷いにくくなります。子どもが友だちと同じことをできない状況が続くと、本人の負担にもなります。削る費目は、まず大人の側の支出や、家族の誰も困らない固定費から選ぶのが基本です。
1人に我慢と管理を押しつけない。家族で話し合える範囲で進める
家計を管理する人だけが節約を頑張り、ほかの家族は今まで通りという状態は長続きしません。節約の目標と担当は家族で話し合って決め、成果が出たら家族で共有するようにすると、取り組みを続けやすくなります。相手の趣味や交際費を一方的に削るのではなく、お互いが自由に使える金額を決めておく方法もあります。
保険の解約や借入で、家計を一時的に楽に見せない
保険料が重いからといって、内容を確かめずに解約すると、病気やけがのときに家族が困るおそれがあります。また、カードローンなどの借入で毎月の支払いを小さくすると、返済期間が延びて利息の合計が増えることがあります。必要な保障を外す方法や、借入で家計を楽に見せる方法はおすすめしません。「家計が楽になる」とうたう電話や訪問の勧誘も、その場で契約せずに内容を確かめてください。返済や契約で困ったときは、消費生活センター(消費者ホットライン188)などの公的な窓口に相談できます。
節約で減らせる金額には限りがあります。家族の暮らしにゆとりを持たせたいときは、収入を増やす方法も並行して考えてみてください。年収を上げる方法の全体像は年収を上げたい人がやるべきこと、本業以外の収入を足す方法は会社員の副業の始め方で解説しています。
【まとめ】家族の節約方法はまず家計の全体を共有することから
家族の節約方法のポイントは次の通りです。
- 二人以上の勤労者世帯の消費支出は月34万6,297円。4人世帯では月37万2,589円(総務省「家計調査」2025年)
- 人数が増えると食費と教育費が増える。家計は「人数で増える費目」と「世帯でまとめて払う固定費」に分ける
- 家計の全体を大人同士で共有し、目的と金額を家族で決め、費目ごとに担当を分ける
- 通信・保険・車は家族全員分を一覧にして見直す。保険は必要な保障を外さない
- 児童手当や医療費助成などの制度は、対象と申請の要否を確かめる
- 子どもの食事・健康・学びは削らず、1人に我慢を押しつけない
全部を一度に始める必要はありません。まずは家族の手取り収入・固定費・貯金の3つを1枚にまとめて、大人同士で共有することから始めてみてください。手取りそのものを増やす方法を知りたいときは手取りを増やす方法も参考にしてみてください。
本記事は一般的な情報の提供を目的としており、収入の増加や特定の結果を保証するものではありません。税金・社会保険・制度の内容は改正されることがあるため、最新情報は公的機関の公式サイトでご確認ください。本記事の情報は2026年10月時点のものです。

