年収がなかなか上がらず、「節約しなければ」と思っても、何から手をつければいいか迷う方は多いのではないでしょうか。節約は、効果が続く固定費から先に見直し、そのあと食費や光熱費などの変動費を習慣で減らす順番で進めると続けやすくなります。
当記事では、家計の平均と比べた支出の確かめ方、効果の大きい順の節約方法、食費・光熱費・日用品の減らし方、続けるコツを、総務省「家計調査」などの公的な情報をもとに解説します。あわせて、節約のやりすぎで注意したいことも整理します。
節約方法を選ぶ前に確認すること
節約の方法を選ぶ前に、「自分のお金が何に出ていっているか」を確かめておくと、効果の小さい我慢に時間を使わずに済みます。ここでは、公的統計の平均との比べ方と、支出の分け方を解説します。
二人以上の勤労者世帯の消費支出は月34.6万円。食費が約27%を占める
総務省「家計調査(家計収支編)2025年」によると、二人以上の世帯のうち勤労者世帯の消費支出は月34万6,297円で、このうち食料が9万3,789円(27.1%)と最も大きな割合を占めます。一人暮らしの会社員に近い「単身世帯のうち勤労者世帯」では、消費支出は月19万1,523円で、食料が23.9%、住居が15.8%です。
| 費目(月平均) | 二人以上の勤労者世帯 | 単身の勤労者世帯 |
|---|---|---|
| 消費支出 | 346,297円 | 191,523円 |
| 食料 | 93,789円(27.1%) | 45,787円(23.9%) |
| (うち外食) | 18,681円 | 13,817円 |
| 住居 | 20,169円 | 30,327円 |
| 光熱・水道 | 24,182円 | 11,222円 |
| 家具・家事用品 | 13,850円 | 5,851円 |
| 通信 | 12,907円 | 6,943円 |
| 教養娯楽 | 34,058円 | 24,187円 |
※2025年平均の1か月あたり(用途分類)。勤労者世帯は、世帯主が会社・官公庁・商店などに勤めている世帯(会社役員の世帯は含まない)。二人以上の勤労者世帯は平均3.20人・世帯主51.0歳、単身の勤労者世帯は平均43.3歳。住居は持ち家の世帯を含む平均。無職の世帯なども含めた二人以上の世帯全体では、消費支出は月31万4,001円。2026年2月6日公表。引用:総務省「家計調査 家計収支編 2025年 第1-1表(二人以上の世帯)」、同「第1表(単身世帯)」
平均はあくまで目安です。自分の支出が平均より大きく多い費目があれば、そこが節約の候補になります。逆に平均より少ない費目を無理に削っても、効果は小さくなりがちです。
支出は1〜2か月分の明細で「固定費」と「変動費」に分ける
次に、通帳とクレジットカードの明細を1〜2か月分用意し、支出を毎月ほぼ同じ額が出ていく固定費と、月によって変わる変動費に分けます。
| 分類 | 主な支出 | 節約の進め方 |
|---|---|---|
| 固定費 | 住居費・通信費・保険料・サブスク・車の維持費 | 契約を1回見直せば、効果が毎月続く |
| 変動費 | 食費・日用品・光熱費の使用量・交際費・趣味 | 毎日の使い方を変えて、少しずつ減らす |
光熱費は基本料金が固定費、使った量の分が変動費という、両方の性格を持つ支出です。この記事では、契約の見直しは固定費、使い方の工夫は変動費として扱います。
「月にいくら減らして、何に回すか」を先に決める
節約が長続きしない原因の一つは、目的がぼんやりしていることです。「月1万円減らして貯金に回す」のように、金額と行き先を先に決めると、やることを選びやすくなります。年収が上がらない時期なら、浮いたお金を資格の勉強や転職活動の準備に回すのも一つの方法です。
効果の大きい節約方法の順番
節約の方法はたくさんありますが、効果の大きさと続けやすさで順番をつけると迷いにくくなります。基本は「固定費が先、変動費があと」です。
最初は固定費。1回の見直しで効果が毎月続く
固定費は、一度見直せば、その後は何もしなくても節約の効果が毎月続くのが強みです。通信費のプラン変更や、使っていないサブスクの解約は、手続きが1日で終わることもあります。通信費・サブスク・保険・住居費・車などの項目ごとの確認方法は、固定費削減の見直しリストにチェックシートとしてまとめています。
次に変動費。食費・日用品・光熱費は使い方の習慣で減らす
固定費を見直したら、次は変動費です。変動費は1回あたりの金額は小さいものの、毎日のことなので、習慣を1つ変えるだけで1年では大きな差になることがあります。ただし、我慢に頼る方法は長続きしません。「やめる」より「回数を決める」「仕組みにする」方法を選ぶのがコツです。
費目別の節約方法の早見表。上から順に手をつける
ここまでの考え方を、費目別の早見表にまとめました。上の行ほど効果が続きやすく、手間あたりの効果が大きい傾向があります。
| 順番 | 費目 | 主な節約方法 |
|---|---|---|
| 1 | 通信費・サブスク | 使用量に合うプランへの変更、使っていないサブスクの解約 |
| 2 | 保険・住居費・車 | 保障の重なりの確認、更新時の家賃交渉や住み替え、維持費の見直し |
| 3 | 食費 | 外食と調理食品の回数を決める、在庫を確かめてから買う |
| 4 | 光熱費の使い方 | エアコンの設定温度とフィルター掃除、お風呂とキッチンの工夫 |
| 5 | 日用品・小さな出費 | 使い切れる量を買う、ついで買いを減らす |
なお、節約とあわせて手取りそのものを増やしたい場合は、控除の申告などで税金を減らす方法もあります。全体像は手取りを増やす方法で解説しています。
食費を無理なく減らす方法と効果の目安
食費は消費支出の中で最も大きな費目です。ここでは、無理なく減らしやすい2つの方法と、効果の目安を紹介します。
外食と調理食品は食費の3〜5割。回数を決めて減らす
家計調査(2025年)では、二人以上の勤労者世帯の食料9万3,789円のうち、外食が1万8,681円、弁当や総菜などの調理食品が1万3,495円で、合わせて食費の約34%を占めます。単身の勤労者世帯では外食1万3,817円と調理食品8,662円で、食費の約49%です。
外食や総菜を全部やめる必要はありません。「外食は週末に1回」「平日の昼は週2日だけお弁当を持っていく」のように回数を決めるほうが続きやすく、食費の削りすぎも防げます。
買い物は回数を減らし、冷蔵庫の在庫を確かめてから行く
食材の買いすぎと使い残しも、食費が膨らむ原因です。農林水産省によると、令和6年度推計の食品ロスは年間461万トンで、そのうち家庭から出る食品ロスは224万トンです(農林水産省「食品ロスとは」)。
買い物の前に冷蔵庫の中を確かめ、買うものをメモしてから出かけると、ついで買いを減らせます。買い物の回数を週2回程度にまとめると、店に行くたびに増える出費も抑えられます。
外食を週2回自炊に変えると年約7.7万円の差(編集部の試算)
どのくらいの効果があるかの目安として、編集部で試算しました。外食1回1,200円の食事を、材料費400円の自炊に週2回置き換えると、差額は月6,400円、年7万6,800円になります。
※編集部の試算。前提:外食1回1,200円、同じ1食を自炊した場合の材料費400円、1か月を4週として計算。光熱費や調理の時間は含めていません。実際の金額は食事の内容や地域で変わります。
光熱費・日用品・小さな出費を使い方で減らす方法
光熱費は、電力会社やプランの契約を見直す方法のほかに、毎日の使い方で減らす方法があります。ここでは、資源エネルギー庁が示す省エネの効果をもとにした使い方の工夫と、日用品や小さな出費の減らし方を紹介します。
エアコンは設定温度とフィルター掃除。冷房を1℃上げると年約940円
資源エネルギー庁の「無理のない省エネ節約」では、冷房の設定温度を27℃から28℃に1℃上げると年約940円、暖房を21℃から20℃にすると年約1,650円の節約になるとされています(エアコン2.2kW・1日9時間使用などの条件)。フィルターを月1〜2回掃除すると年約990円の節約という試算もあります。いずれも電気料金を31円/kWh(2022年7月の目安単価)として換算した金額で、今の料金や契約によって変わります。
あわせて、レースのカーテンやすだれで日差しを遮る、扇風機を一緒に使うといった工夫も紹介されています(資源エネルギー庁「無理のない省エネ節約 空調」)。
お風呂とキッチンは「保温しすぎ」「出しっぱなし」を減らす
お風呂とキッチンにも、使い方だけで減らせる支出があります。とくにお風呂の追い焚きを減らす工夫は効果が大きく、年約6,190円の節約とされています。
| 省エネの行動 | 年間の節約額の目安 |
|---|---|
| 間隔をあけずに入浴し、追い焚きを減らす | 約6,190円 |
| シャワーを流す時間を1日1分短くする | 約3,210円 |
| 電気ポットを長時間使わないときはプラグを抜く | 約3,330円 |
| 冷蔵庫の設定温度を「強」から「中」にする | 約1,910円 |
| 冷蔵庫にものを詰め込みすぎない | 約1,360円 |
※各行の条件(湯量・使用時間・周囲温度など)は出典のとおり。金額は電気31円/kWh(2022年7月の目安単価)、ガス162円/m³などの単価で換算されたもので、今の料金や契約によって変わります。引用:資源エネルギー庁「無理のない省エネ節約 風呂・トイレ」、同「キッチン」
1つずつの金額は大きくありませんが、前述のエアコンの3つと表の5つをすべて実行した場合を編集部で単純に合計すると、年約1万9,600円になります(各行の条件どおりに使う家庭の場合)。できるものから1つずつ取り入れるのが現実的です。
日用品はまとめ買いより「使い切れる量」を買う
洗剤やティッシュなどの家事用消耗品は、二人以上の勤労者世帯で月4,074円です(家計調査 2025年)。日用品は安いときにまとめ買いするより、置き場所に収まり、使い切れる量を買うほうが、使いすぎや買い忘れによる二重買いを防げます。ドラッグストアに行く日を決め、在庫が1つになったら買う、と決めておくと管理が楽になります。
コンビニや手数料などの小さな出費は「ついで」をなくして減らす
1回数百円の出費でも、毎日のように重なると月の合計は大きくなります。仕事帰りにコンビニへ寄る日を決める、飲み物は家から持っていく、といった工夫で回数を減らせます。銀行のATM手数料や振込手数料は、使う時間帯や回数で変わることが多いため、自分の口座の条件を確かめ、手数料のかからない使い方にまとめておくと安心です。ポイント還元やセールも、もともと買う予定のものに使うときだけ得になると考えておくと、買いすぎを防げます。
我慢に頼らず続けるための4つのコツ
節約は、始めることより続けることのほうが難しいものです。ここでは、気合いに頼らずに続けるための4つのコツを紹介します。
給料日に貯める分を先に分け、残りでやりくりする
余ったら貯金する方法では、なかなかお金が残りません。給料が入った日に、貯める額を別の口座へ先に移しておくと、残ったお金の範囲で生活する形が自然にできあがります。勤務先に財形貯蓄などの制度があれば、給与から天引きで積み立てる方法もあります。
費目ごとに月の予算を決め、確かめるのは週1回だけにする
家計簿を毎日きっちりつけようとすると、負担が大きくて続きません。食費・日用品・交際費など変動費の予算を月単位で決め、週に1回だけ残りを確かめる程度で十分です。クレジットカードや電子マネーの利用履歴を見るだけでも、使いすぎの週に気づけます。
一度に全部やらず、1か月に1つずつ習慣を足す
食費も光熱費も日用品も、一度に全部変えようとすると疲れてしまいます。1か月目は固定費、2か月目は外食の回数というように、1か月に1つずつ習慣を足していくと、無理なく定着しやすくなります。
サブスクと「初回だけ安い」定期購入は更新日を記録する
気づかないうちに出ていくお金にも注意が必要です。国民生活センターによると、通信販売で購入した商品の定期購入に関する相談は、2025年度に9万3,065件寄せられています(2026年5月31日現在)。「初回実質0円」などの広告で申し込んだら、2回目以降が定期購入だったという事例も紹介されています(国民生活センター「通信販売での定期購入」)。申し込むときに解約の条件を確かめ、更新日をカレンダーに入れておくと、使わないまま払い続けるのを防げます。
やってはいけない節約方法と注意点
節約は、やりすぎるとかえって損をすることがあります。ここでは、削ってはいけない支出と、避けたい行動を整理します。
食事や冷暖房を削りすぎて体調を崩さない
食費を極端に削ったり、暑い日にエアコンを我慢したりすると、体調を崩して医療費がかかったり、仕事に影響したりするおそれがあります。厚生労働省は、熱中症は室内で何もしていないときでも発症し、場合によっては死亡することもあるとして、エアコン等で温度をこまめに調節するよう呼びかけています(厚生労働省「熱中症予防のために」)。光熱費は設定温度や使い方の工夫で減らし、必要な冷暖房までは止めないようにしてください。
保険は必要な保障まで外さない。公的な保障を確かめてから見直す
保険料を下げたいときも、自分や家族に必要な保障まで外してしまうのは避けるべきです。会社員は、医療費の自己負担に上限を設ける高額療養費制度などの公的な保障を受けられます(協会けんぽ「高額療養費」)。まず公的な保障で足りる部分を確かめ、足りない分を民間の保険でどう備えるかを考えるのが基本です。当サイトでは特定の保険商品はおすすめしません。具体的な確かめ方は固定費削減の見直しリストの保険の項目で解説しています。
時間と自己投資まで削りすぎない
数百円を浮かすために何時間も使ったり、勉強や人付き合いのお金をすべて削ったりすると、長い目では損になることがあります。節約で浮かせられる金額には限りがあるため、年収が上がらない状況を変えるには、収入を増やす方法とあわせて考えることが大切です。今の会社・転職・副業など、年収を上げる方法の全体像は年収を上げたい人がやるべきことで、本業以外で収入を足す方法は会社員の副業の始め方で解説しています。
「節約になる」勧誘や、借入で毎月の返済額を下げる方法に頼らない
「電気代が安くなる」「保険料が下がる」といった電話や訪問の勧誘は、その場で契約せず、内容と解約条件を確かめてから判断することが大切です。また、カードローンなどで借り換えて毎月の返済額を小さくすると、返済期間が延びて利息の合計が増えることがあります。借入で家計を楽に見せる方法はおすすめしません。返済に困ったときは、消費生活センター(消費者ホットライン188)などの公的な窓口に相談してください。
【まとめ】節約方法はまず1か月の支出を固定費と変動費に分けることから
当記事では、続けられる節約方法を、効果の大きい順と続けるコツに分けてご紹介しました。ポイントは次の通りです。
- 二人以上の勤労者世帯の消費支出は月34万6,297円で、食料が27.1%(総務省「家計調査」2025年)
- 節約は、効果が毎月続く固定費から見直し、そのあと変動費を習慣で減らす
- 食費は外食と調理食品の回数を決め、在庫を確かめてから買う
- 光熱費はエアコンの設定温度、追い焚き、保温のしすぎなど使い方で減らす
- 健康・必要な保障・自己投資まで削らず、借入や勧誘に頼らない
全部を一度に始める必要はありません。まずは明細1か月分を見て、支出を固定費と変動費に分けることから始めてみてください。税金を減らす方法を知りたいときは会社員の節税一覧も参考にしてみてください。
本記事は一般的な情報の提供を目的としており、収入の増加や特定の結果を保証するものではありません。税金・社会保険・制度の内容は改正されることがあるため、最新情報は公的機関の公式サイトでご確認ください。本記事の情報は2026年10月時点のものです。

