一人暮らしの固定費は、家賃・光熱水道・通信だけで、単身の会社員世帯の平均で月4万6,000円ほどになります。削減は通信費とサブスクのように手続きが簡単な項目から始め、効果の大きい家賃は更新や引っ越しのタイミングで見直すのが進めやすい順番です。
当記事では、総務省「家計調査」で見る一人暮らしの固定費の平均、下げやすい順の見直し方、家賃の目安の考え方を解説します。あわせて、更新・引っ越しのときに確かめることと、削りすぎの注意点も整理します。
一人暮らしの固定費はいくら?単身世帯の平均で確かめる
固定費は、家賃・通信費・保険料のように、使った量にかかわらず毎月ほぼ同じ額が出ていく支出です。減らす前に、自分の固定費が平均より多いのか少ないのかを確かめておくと、どこから手をつけるかを決めやすくなります。
単身の勤労者世帯の消費支出は月19万1,523円。家賃・光熱水道・通信で約4.6万円
総務省「家計調査(家計収支編)2025年」によると、一人暮らしの会社員に近い「単身世帯のうち勤労者世帯」の消費支出は月19万1,523円です(平均43.3歳)。このうち、毎月ほぼ決まって出ていく家賃・地代、光熱・水道、通信を合わせると月4万6,227円で、消費支出の約24%を占めます。
| 費目(月平均) | 金額 | 消費支出に占める割合 |
|---|---|---|
| 消費支出(合計) | 191,523円 | 100% |
| 家賃・地代 | 28,062円 | 14.7% |
| 光熱・水道 | 11,222円 | 5.9% |
| (うち電気代) | 6,033円 | 3.2% |
| (うちガス代) | 2,829円 | 1.5% |
| (うち上下水道料) | 1,862円 | 1.0% |
| 通信 | 6,943円 | 3.6% |
※2025年平均・単身世帯のうち勤労者世帯の1か月あたり(用途分類)。家賃・地代は持ち家の世帯も含めた平均。引用:総務省「家計調査 家計収支編 2025年 第1表(単身世帯)」、総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2025年平均結果の概要」(2025年平均結果は2026年2月6日公表)
なお、生命保険などの保険料は家計調査では消費支出に含まれず、別の項目(実支出以外の支払)で集計されています。そのため、上の表には入っていません。保険に入っている方は、ご自身の保険料を足して比べてください。
賃貸の人の家賃は平均より高い。家賃を払っている世帯だけでみると約5万円
表の家賃・地代2万8,062円は、家賃のかからない持ち家の世帯も含めた平均です。同じ調査で家賃・地代を支払っている世帯の割合は56.3%のため、支払っている世帯だけの平均に直すと、月約5万円になります(2万8,062円÷56.3%で編集部が計算)。
賃貸に住む方は、この約5万円や、近くの同じような物件の家賃と比べるほうが実態に近くなります。家賃は地域差が大きく、全国平均より高いだけで「高すぎる」とは言えません。
自分の固定費は、明細1か月分と年払いの支払いを書き出せば分かる
平均と比べるには、自分の固定費を一覧にする必要があります。銀行口座の引き落としとクレジットカードの明細を1か月分並べ、毎月決まって出ていく支払いに印をつけるだけで、ほとんどの固定費は拾えます。年払いの保険料やサブスクは12で割って月額にします。
通信・サブスク・保険・住居費などの8項目を一覧で確かめたい方は、固定費削減の見直しリスト(8項目のチェックシート)を使うと書き出しが早く進みます。
一人暮らしの固定費を削減する順番(下げやすい順)
一人暮らしは契約がすべて自分の名義のことが多く、家族と相談せずに見直せるのが強みです。手続きの手間が小さく、効果が毎月続く項目から順に進めると、途中で止まりにくくなります。
| 順番 | 項目 | 手間 | 見直す時期 |
|---|---|---|---|
| 1 | 通信費 | 小(ウェブで完結しやすい) | いつでも |
| 2 | サブスク・定期購入 | 小 | 次の更新日の前 |
| 3 | 電気・ガスの契約 | 小〜中 | いつでも(物件の条件による) |
| 4 | 保険 | 中 | 契約の更新・生活の変化のとき |
| 5 | 家賃 | 大 | 契約の更新・引っ越しのとき |
※手間と時期は一般的な目安で、契約の内容によって異なります。
1番目は通信費。データ使用量に合うプランへの変更から始める
通信費は、実際に使っているデータ量と契約しているプランの容量の差を確かめることから始めます。総務省の携帯電話ポータルサイトでも、見直しの手順を「データ使用量を把握する」「自分に合った料金プランを選ぶ」「不要なオプションを外す」の3つで紹介しています。
一人暮らしでは、スマートフォンと自宅のインターネット回線の両方を契約していることがよくあります。外出先での利用が中心なら、どちらかに寄せられないかを考える余地があります。他社に乗り換える場合、今の会社に払う番号移行(MNP)の転出手数料は、ウェブで申し込めば無料です(電話や店舗では1,100円以下の手数料がかかる場合あり)。乗り換え先では、契約事務手数料またはSIMカード代として、おおむね3,300円前後がかかる場合があります。
引用:総務省 携帯電話ポータルサイト「料金プランを見直してみよう!」、同「乗換えの基本と費用を知ってる?」(2026年10月18日確認)
2番目はサブスク。直近1か月で使っていないものを更新日の前に解約する
動画・音楽・アプリなどのサブスクは1つあたりの金額が小さく、契約したまま忘れやすい支出です。直近1か月で使ったかどうかで仕分け、使っていないものは次の更新日の前に解約するのが基本です。アプリストア経由の契約は、カードの明細に名前が分かりにくく出ることがあるため、ストアの購入履歴も確かめます。
「初回だけ安い」広告からの定期購入にも注意が必要です。国民生活センターによると、通信販売の定期購入に関する相談は2025年度に9万3,065件でした(2026年5月31日現在)。申し込む前に、解約の方法と期限を確かめておきます。
引用:国民生活センター「通信販売での定期購入」(2026年7月31日更新)
3番目は電気・ガスの契約。賃貸でも自分の名義なら切り替えられることが多い
電気は2016年4月から小売が全面自由化され、契約する会社やプランを選べます。資源エネルギー庁の「よくある質問」では、賃貸住宅でも、契約の名義が本人であれば切り替えられるとされています。ただし、マンションで建物全体が一括で契約している場合などは、切り替えられないことがあります。
一人暮らしでは、昼間は家にいない、在宅勤務で日中も使うなど、使い方が人によって大きく違います。今のプランの基本料金と、検針票やマイページで分かる月ごとの使用量を確かめ、使い方に合うかを比べます。プランによっては解約金がかかるため、切り替える前に確認が必要です。
引用:資源エネルギー庁「電力小売全面自由化 よくある質問」、国民生活センター「電力・ガス」
4番目は保険。公的な保障を確かめてから、重なっている分を見直す
保険は、公的な保障で足りる部分と、足りない部分を分けてから見直すのが基本です。会社員が入る健康保険には、医療費の自己負担が上限を超えた分が戻る高額療養費制度や、業務外の病気・けがで働けないときの傷病手当金があります。
扶養している家族がいない一人暮らしでは、家族の生活を支えるための死亡保障の考え方が、家族のいる世帯とは変わります。必要な保障は、貯蓄額や働き方、公的な保障の内容によって人それぞれです。
5番目は家賃。効果は最も大きいが、更新か引っ越しのときにまとめて見直す
家賃は一人暮らしの固定費の中で最も金額が大きく、月5,000円下がるだけでも年6万円の差になります。一方で、下げるには貸主との交渉か引っ越しが必要で、手間とお金がかかります。そのため、契約の更新や住み替えを考えるタイミングに合わせて見直すのが現実的です。
一人暮らしの家賃の目安と考え方
「家賃はいくらまでなら大丈夫か」は、一人暮らしの固定費を考えるうえで一番大きな問いです。ここでは、よく言われる目安と統計の数字を比べ、自分の家賃の決め方を整理します。
「家賃は手取りの3分の1」はよく言われる目安で、公的な基準ではない
家賃の目安として「手取りの3分の1」がよく挙げられます。ただし、これは不動産の広告や情報サイトなどで使われる経験的な目安で、法律や国が定めた基準ではありません。手取りが同じでも、貯金をいくらしたいか、車があるか、奨学金の返済があるかで、払える家賃は変わります。
手取りに対する家賃の割合は、統計より自分の毎月の手取りで計算する
家計調査(2025年)では、単身の勤労者世帯の可処分所得(収入から税金と社会保険料を引いた、いわゆる手取り)は月31万4,148円です。前の章で計算した家賃を払っている世帯の平均約5万円をこの額で割ると、約16%になります(編集部の粗い推計)。ただし、この手取りは持ち家の世帯も含めた平均で、賃貸に住む世帯だけの手取りではありません。家賃の割合の平均として使うには粗すぎるため、参考程度にとどめてください。
| 項目(単身の勤労者世帯・月平均) | 金額 |
|---|---|
| 可処分所得(手取りに相当) | 314,148円 |
| 家賃・地代(持ち家を含む平均) | 28,062円 |
| 家賃・地代(支払っている世帯だけの平均・計算) | 約49,800円 |
※2025年平均。家賃を払っている世帯だけの平均は、家賃・地代28,062円を支払世帯の割合56.3%で割った編集部の計算で、賃貸に住む世帯だけの収入とは対応していない粗い目安。引用:総務省「家計調査 家計収支編 2025年 第1表(単身世帯)」
また、可処分所得の月額には賞与(ボーナス)も均して含まれているため、毎月の給与の手取りより大きく見えます。自分の家賃の割合は、ボーナスを除いた毎月の手取りで計算すると、現実に近い数字が出ます。
家賃は「毎月の貯金額」と「ほかの固定費」を先に決めて、残りから逆算する
家賃を決めるときは、手取りから毎月の貯金額とほかの固定費・生活費を先に引き、残った額を家賃の上限にすると、住んでから苦しくなりにくくなります。たとえば、毎月の手取りが22万円の場合、次のように考えられます。
| 項目(編集部の試算) | 月額 |
|---|---|
| 毎月の手取り | 220,000円 |
| 貯金(手取りの1割) | 22,000円 |
| 光熱・水道・通信 | 18,000円 |
| 食費・日用品・交際費などの生活費 | 110,000円 |
| 残り(=家賃の上限の目安) | 70,000円 |
※編集部の試算。光熱・水道・通信は家計調査の単身の勤労者世帯の平均(計1万8,165円)を丸めた額、生活費は仮の額。手取りの3分の1は約7万3,000円で、この例ではほぼ同じ水準になる。保険料や奨学金の返済がある場合は、その分を引いて考える。
更新・引っ越しのときに一人暮らしの固定費を見直すポイント
家賃や回線・電気の契約は、更新や引っ越しのときにまとめて見直せます。契約の内容は物件ごとに違うため、最終的には手元の賃貸借契約書で確かめてください。
更新の前に、更新料と近くの同じような物件の家賃を確かめる
契約の更新が近づいたら、更新料の有無と金額、近くの同じような広さ・築年数の物件の家賃を確かめます。更新料があるかどうかや金額は、物件の契約書で決まっています。
借地借家法第32条では、建物の家賃が経済事情の変動や近くの同じような建物の家賃と比べて不相当になったときは、将来に向かって家賃の増減を請求できると定めています。相場より高いと感じたら、調べた家賃を根拠に相談する方法がありますが、貸主が応じるとは限りません。
住み替えは「初期費用÷家賃の差額」で元が取れる月数を出してから決める
家賃の安い部屋に引っ越すと固定費は下がりますが、敷金・礼金・仲介手数料・引っ越し代などの初期費用がかかります。初期費用を毎月の家賃の差額で割り、何か月住めば元が取れるかを先に計算しておくと判断しやすくなります。
| 条件(編集部の試算) | 家賃が月5,000円下がる | 家賃が月1万円下がる |
|---|---|---|
| 初期費用・引っ越し代の合計 | 25万円 | 25万円 |
| 元が取れるまで | 50か月(約4年2か月) | 25か月(約2年1か月) |
※編集部の試算。初期費用は仮の額で、物件・地域・時期によって大きく異なる。今の部屋の退去費用や、更新料がかからなくなる分は含めていない。
元が取れる前に再び引っ越す予定があるなら、住み替えより、ほかの固定費を下げるほうが効果的です。
解約の予告期間は契約書で確かめる。国の標準契約書では30日前
引っ越しを決めたら、今の部屋の解約をいつまでに伝える必要があるかを確かめます。国土交通省の「賃貸住宅標準契約書」では、借主は少なくとも30日前に解約を申し入れることで契約を解約できるとしています(申し入れから30日分の賃料を払えば、それより早く解約できる規定もあります)。
ただし、標準契約書はひな形であり、実際の予告期間は物件ごとの契約書で決まります。1か月より長い予告期間が定められている場合もあるため、新居の契約日と重なって家賃を二重に払う期間が長くならないよう、早めに確認しておくと安心です。
引用:国土交通省「賃貸住宅標準契約書(平成30年3月版・連帯保証人型)」第11条
引っ越しは、電気・ガス・ネット回線を使い方に合わせて選び直す機会になる
引っ越しのときは、電気・ガス・インターネット回線の手続きをし直すため、今の契約をそのまま移すのではなく、使い方に合うかを比べ直すよい機会です。建物にインターネット設備が備わっている物件では、自分で回線を契約しなくてよい場合もあります。
一方で、回線の解約に工事費の残りや違約金がかかることがあります。総務省の携帯電話ポータルサイトでは、固定回線や家族の契約とのセット割が外れると、ほかの料金が上がる場合がある点も注意として挙げています。解約する契約の残りの支払いを確かめてから手続きを進めてください。
引用:総務省 携帯電話ポータルサイト「乗換えのチェックポイントは?」
一人暮らしの固定費削減でやりすぎないための注意点
固定費の削減は家計にゆとりを生みますが、削りすぎると安全や健康、将来の備えを失うことがあります。とくに次の3点には注意が必要です。
家賃を下げるために、安全と通勤時間を削りすぎない
家賃だけで部屋を選ぶと、通勤時間が長くなったり、防犯面で不安のある部屋に住んだりすることがあります。通勤が片道30分延びれば、往復で1日1時間を使うことになり、資格の勉強や副業、休息の時間が減ります。交通費の自己負担が増える場合もあります。
保険は、必要な保障まで外さない
保険料は下げやすい固定費ですが、解約したあとに病気やけがをすると、貯蓄で支えきれないことがあります。一人暮らしは、働けなくなったときに生活費を助けてくれる同居の家族がいないことも多い点に注意が必要です。
公的な保障と貯蓄でどこまで備えられるかを確かめ、足りない部分の保障は残します。保険の内容が分かりにくいときは、契約している保険会社の窓口で、今の保障の内容を確認してから判断してください。
「安くなる」という勧誘や、借入で毎月の支払いを下げる方法に頼らない
国民生活センターには、電力の自由化に関する相談が2025年度に4,508件寄せられています(2026年5月31日現在)。突然の訪問や電話で「電気代が安くなる」と勧められても、その場で契約しないことが大切です。困ったときは消費者ホットライン「188」に相談できます。
また、固定費を下げる目的で新たにお金を借りることはおすすめしません。毎月の返済額が下がっても、返済期間が延びて利息の合計が増えることがあります。
引用:国民生活センター「電力・ガス」(2026年7月31日更新)
固定費を下げても、年収そのものは増えません。年収が伸びにくい原因の見分け方は年収が上がらない理由と理由別の対処法で、年収を上げる方法の全体像は年収を上げたい人がやるべきことで解説しています。家で過ごす時間を収入につなげたい方は、在宅でできる副業の比較と選び方も参考にしてください。
【まとめ】一人暮らしの固定費削減は通信費の確認から始めよう
当記事では、一人暮らしの固定費の平均と、下げやすい順の見直し方、家賃の考え方をご紹介しました。ポイントは次のとおりです。
- 単身の勤労者世帯の家賃・光熱水道・通信は月4万6,227円(総務省「家計調査」2025年)。家賃を払っている世帯だけの家賃は約5万円(計算)
- 見直しは通信費、サブスク、電気・ガス、保険、家賃の順に進めると負担が小さい
- 「家賃は手取りの3分の1」はよく言われる目安。貯金とほかの支出から逆算して決める
- 住み替えは初期費用を家賃の差額で割り、元が取れる月数を出してから決める
- 安全・通勤時間・必要な保障は削りすぎない。勧誘や借入に頼らない
まずやる1つは、スマートフォンのマイページで直近3か月のデータ使用量と料金を確かめることです。ウェブで数分ででき、プランが合っていなければその日のうちに見直せます。食費や光熱費の使い方も含めた節約の進め方は効果の大きい順の節約方法で、控除を使って手取りを増やす方法は手取りを増やす方法でまとめています。
本記事は一般的な情報の提供を目的としており、収入の増加や特定の結果を保証するものではありません。税金・社会保険・制度の内容は改正されることがあるため、最新情報は公的機関の公式サイトでご確認ください。本記事の情報は2026年10月18日時点のものです。

